七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 126話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 126話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」126話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 126話

 十三才になった年の秋。
 ついにカナンが私の侍女デビューをした。元からいる侍女の補助という形ではあるが、しっかり侍女をやっている。すごく気が利くし、今のところ失敗もほとんどなく、私からの文句はない。

(ただ視線が痛いのよね)

 私の一挙一動を見逃しません! とでもいうくらい、視線を感じるのだ。気にしすぎかもしれないが。まあ私が慣れればいいだけだ。
 また、アナンも出かける時に護衛としてついてくる時がある。二人共頑張ってると思うと、私も嬉しいものだ。

 アナンとカナン兄妹と一緒に住んでいるアンも、最近は一人前の仕立て屋として働いている。元々デザインのセンスがあり、技術も高かった。師匠に色々と教えてもらい、さらに腕が磨かれて、ジュードの商会の婦人服部門で活躍している。いずれ将来的には、私の夜会服ドレスなんかも作ってもらうつもりである。

 そして私は最近ダンスのレッスンを開始した。いろいろとステップを覚えなくてはならないが、今のところ楽しんでやれていると思う。ディアルドやジュードがダンスが上手いので、練習相手に事欠かないのだ。シオンはダンスは好きではないようだが、最低限は踊れると本人は言っていた。見たことがないので、何とも言えないが。

 そして冬休み、エメルは帰郷したが双子は戻ってこなかった。近衛騎士となっており、長期休みは同僚同士で交代となるのだという。しかも今年は近衛騎士になったばかりということで、長期の休みはないらしいのだ。いつも冬休みに会えていた双子に会えないのは、すごく寂しかった。

 帰郷したエメルとベッドに入る。

「エメルは今五年生よね。去年から女性も同じ学年にいるでしょう。エメルは好きな人はいないの?」
「いないですね。私はまだそういった感情が分からなくて」
「えー、でもエメルはモテるでしょう? かっこいいもの。優しいし」
「どうでしょう。モテてはいないと思いますけれど。私の近くには、すごくモテる人がいますから」
「え? そうなの? ……あ、カイルお兄さま?」
「そうです」
「そうかあ、カイルお兄さまもかっこいいものねぇ」

 それに皇太子である。同じ年代の令嬢たちは目の色を変えていることだろう。ただカイルは皇太子だが、エメルは皇太子の側近である。エメルだって将来有望株だ。

「ミリィも順調に行くなら、二年半後はテイラー学園に行けるはずよね」
「ミリィなら、余裕で入学試験に通ると思いますよ」
「そうかな? でもそんなに勉強してなかったルーカスだって無事入学できたっていうし、普通に勉強してれば通るよね」

 ただルーカスの時とは入学する学年が違う上に、当然試験の内容も違う。だから受かるかどうかに少しだけ不安はある。

「テイラー学園の前に、ミリィは女性の学校へは行かないのですか? もう入学はできる年でしょう」
「……うん」

 行きたい気持ちはあるのだが。

「……ウィタノスですね」
「そう」

 女性の学校は同じ性別の可能性が高いウィタノスがいないとも限らないのだ。そこに護衛もなく入学するのは怖い。

「女性の学校は行く必要ありませんね。ミリィは最初からテイラー学園に入ればいいんです。今までだって勉強はかんばっていますし、もし心配なら、入学前に私が試験勉強を教えますよ」

 エメルは明るい声で言った。私を気遣うように。

「うん。その時はお願いします」
「承りました」

 ふふふと笑いあう。そう、私には頼もしい兄たちがいる。刻一刻と、ウィタノスとの出会いが近づいているのは間違いないだろう。それでも。私には兄が付いている。大丈夫なのだ。そう言い聞かせながら眠りにつくのだった。

 そして冬休みが終わり、エメルは帝都へ戻る。
 シオンはまたダルディエ領からどこかへ行ってしまった。今回は少し長めになるかもしれないと言っていたから、社交界シーズンにも戻ってこないつもりなのだろう。相変わらず何しているか分からないが、やはり影と一緒のようだから、何か裏方の仕事なのは間違いない。

 そしてあっという間に社交界シーズンである。今年はカイルと会うためにも、両親たちと共に帝都入りした。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。