七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 122話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 122話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」122話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 122話

 金的攻撃用の防具が出来上がり、さあ練習をしよう! と息巻いていくと、練習相手が女性になっていた。前回シオンに試しに金的攻撃を受けた同僚に泣きつかれたらしい。うちの護衛騎士の中には多くはないが女性もいるのである。いつも冷静沈着に仕事を行う綺麗なお姉さんである。
 金的攻撃は男性にしか効かないと思いがちであるが、女性だってもろに当たれば痛い。なのできちんと防具を付けてもらい、練習である。男性と違い金的攻撃に肯定的なお姉さんは、それはそれは的確に間違いを指摘してくれるのでありがたい。

 他の一撃攻撃も、いざという時に失敗しないよう練習している。

 もう一つ、武器を使った訓練を開始したのだが、これは私の予想するものと全く違っていてがっかりしたものだ。

「どうして扇子?」
「自然と持てるもので違和感がないからな。ジュードが作った。中に鉄が入っている」
「わ、重い。本当だ、見た目で鉄が入ってるとは分からないね。でも剣とかナイフとかが良かったなぁ」
「ミリィにそんなもの持たせるわけないだろう。危なすぎる。これはこれでちゃんと武器になるんだからな。普段から使いこなせるようになっておくんだ」

 確かに見た目以上に重いので、まずは持つのを慣れて、他の人から見てただの扇子を持っているように見える訓練をしないといけなさそうだ。

「この扇子、使えるようになったら剣も習いたいな」
「駄目だな」

 シオンは頑なである。私も人のこと言えないが。ぷくっと頬を膨らませていると、シオンはため息をついた。

「やっぱり拗ねると思った。剣はだめだけど、いずれはボーガンをさせてやるから機嫌を直せ」
「え、ボーガン? 本当?」

 ボーガンは弓の一種である。

「あれならミリィでも練習すれば使えるようにはなる。まあどこで使うんだって話だけど」
「やったぁ!」
「言っておくけれど、もう少し先の話だからな。まずは扇子に慣れるところからだ」
「はぁい」

 やはりシオンは私を分かっている。剣を使わせてもらえないのは残念だが、ボーガンも武器だし、まあいいかと思いなおす。

 そうやって日々忙しい毎日を送っていると、あっという間に冬がやってきた。双子とエメルも冬休みで帰ってきて、とても賑やかである。ルーカスは冬もラウ領へは帰らないらしく、暖かい部屋で私とオセロの対戦をしていた。

「ふふふ、今回はミリィの勝ちじゃない?」
「まだ半分だろ! ここから挽回するから」

 いつもオセロ対戦しても負けるのだが、今回は私の黒色のほうが多い。これは勝てると思っていたが、いざ終わってみると負けていた。

「うそ」
「あはは! ほらな!」

 私の後ろで見ていたエメルは苦笑している。

「ミリィがここに置いてしまったのが、敗因ですね」
「えええ!? エメル分かってたなら言ってよぉ」
「言ったら言ったでミリィは悔しがるでしょう」
「うっ」

 確かに。さすがエメル、よく分かっている。
 悔しい。そもそもこのオセロを広めたのは私なのに、なぜ負けるのだ。こうなったら。

「ジュード! あれを出して!」
「トランプ?」
「そう! ババ抜きで勝負しましょう!」
「なんだそれ」

 実は現在試作品でジュードにトランプを作ってもらったばかりなのだ。だから誰もルールをしらないのである。前世でさんざんやったのだ、これなら勝てるはずだ。
 いずれは販売するとは思うが、しばらくは兄たちと遊んでみんなの反応を確認しようと思っていたのである。

 まずはトランプの王道、ババ抜き勝負である。兄全員とルーカスにルールを説明する。それから実際にやってみる。

「わーい、一抜け!」

 最初の勝負は私が一番に勝った。負けたのはジュードだった。その後、なかなか盛り上がったババ抜きであるが、私は最後にババを手に愕然とした。最後の三本勝負は全部私の手元にババが最後に残るのである。

「どうして? 何でミリィにばかりババが残るの?」

 双子はニヤニヤしているし、他の兄たちも微笑んでいる。そしてルーカスがずばっと言った。

「だってお前、ババ持ってるの丸わかりなんだもん」
「え」
「ババがないときは機嫌いいし、ババくると絶望的な顔しているし。どこにババ並べてるかも俺でさえ位置が分かるんだけど」
「ルーカス、ばかだな。ミリィはそこが可愛いんじゃないか」
「そうそう。ババを必死に取ってもらいたそうにしているところを、わざと取らないで、もっとしゅんとしているの見たくなるでしょ」

 双子のヒドイ言いよう。顔に出ていたとは、ショックである。

「もう! 今日は終わり!」

 負けてばかりで悔しいが、これ以上やっても負けが増えるだけである。
 エメルがおいでと手を振るので、少し悔しい気持ちのままエメルの膝に乗った。

「エメルはあまり表情変わらないね。ババ持ってるの気づかなかった」
「私は表情筋壊れているらしくて。ソロソがいつも言うんですよね」
「え? そうかな。笑ってても怒ってる時とか、ミリィ分かるよ」
「それですよ。一般的には怒った顔で怒るものらしいですから。笑っているのに、怒ってる? って聞いてくるんですよ、あの人。まあ、ソロソはそのあたり敏感な人ですからね。いつも空気読んでると言いますか」
「いいじゃない。それはエメルの武器みたいなものでしょう。ミリィにもそのちぐはぐ技伝授して! ババ抜きで勝ちたいの!」
「ちぐはぐ……ふふふ、ミリィには勝てないな。そうですね、将来的にも表情を自由に扱えるほうがいいですから。少しずつ練習しましょうか」
「うん!」

 よーし、これで、いつかは表情が分かりやすいなんて言われないようになるだろう。楽しみである。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。