七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 120話 ジュード視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 120話 ジュード視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」120話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 120話 ジュード視点

「ねぇ、いいでしょ、ジュード」
「うーん」

 ジュードは現在自室で風呂に入っていた。長い髪を浴槽から出して使用人が洗っている。同じ風呂場の衝立の向こうでは、ミリィがずっと話をしていた。とある提案を受けている最中だが、その提案に関しては、俺の独断で判断するわけにはいかない。少なくとも現在ダルディエ領にいるディアルドとシオンとは相談する必要がある。

「少し考えさせてほしいな。今日明日決めなくてもいいでしょう」
「わかった。でも駄目って言わないで。お願いジュード」
「きちんと考えるから。兄上にも相談する必要があるしね。ほら、もう上がるよ。いい子で部屋で待ってて」
「はあい」

 ミリィが部屋を出ていく音がする。
 髪を洗い流し、身体を綺麗にすると、下着とバスローブを着用した。バスルームから出ると、俺の部屋ではソファーの上でミリィが本を読んでいた。その横に座りミリィを引き寄せる。

「何を読んでいるの?」
「『筋肉の鍛え方と筋肉づくりの食事』という本よ」

 また変なものを読んでいる。現在ミリィの中では筋肉が流行のようである。
 使用人が濡れた髪を手入れするに任せながら、つい小さなため息が出てしまう。

 最近ミリィはルーカスのことが気になって仕方がないようだった。最初はウェイリー以来の好きな男なのかと焦ったが、どうやらそういうことではないらしい。身体が弱いミリィは、数年前から体力づくりのために歩いたり、走ったり、体幹を鍛えたり、筋肉トレーニングしたりと頑張っている。ミリィの頑張りの成果か、最近は昔より熱が出ることが少なくなったし、身体が強くなった気はする。けれど、ルーカスの影響で体づくりにより精を出すようになった。無理しないように注意して見てはいるが心配なのである。さきほども変なお願いをしてきているし、ミリィのお願いならば叶えてあげたいが、それはあくまでもミリィが無理をしないことが前提である。一生懸命頑張る性格なミリィは、こちらが了承すれば、またより一層頑張るのは目に見えている。いろいろと悩ましいところだ。

 ルーカスとミリィは仲が良い。よく話しているし、ミリィにちょっかいを出さないなら問題ないが、どうもルーカスは余計な一言が多いのである。

 例えば添い寝の件。
 兄たちと添い寝をしていると知ったルーカスは、十二才にもなって添い寝は子供すぎるとミリィに言うのだ。悪夢を見る関係上、ミリィに添い寝は必須であるのだが、それをルーカスに言うわけにもいかない。それにずっと添い寝してきたからか、悪夢がなくともミリィは一人で寝れないのだ。それをわざわざ子供だと指摘する必要はない。ルーカスには関係ないし、可愛いミリィと一緒に寝れる至福を奪われそうになるとなれば、黙っているわけにもいかない。ミリィに知られないよう、ルーカスには少し指導しておいた。もう二度と添い寝に口出しはしないだろう。

 また俺も含め、兄たちがミリィを抱っこする件。
 一家団らん中に俺やディアルド兄上、シオンがミリィを抱っこして座る光景は、うちの中では普通だ。外でもミリィを見ると抱き上げたくなるし、抱っこして歩いて何が悪いのか。しかしルーカスは不思議そうに言うのだ。ミリィを抱っこして重くないのかと。確かにミリィも十二才で大きくはなったが、まだまだ小さい。そして驚くほど軽い。食べすぎるとお腹を壊したりするため小食なミリィは、すごく痩せている。そのどこを見て重いなどというのか。ルーカスの言葉に、ごめんね重いでしょと、心配そうに言うミリィ。ルーカスを殴りたくなった。そもそも俺が普段鍛えているのはミリィを守るためだが、それだけでなく、どんなに重くなってもミリィを抱き上げるためである。俺から鍛える理由を奪うというのか。この件についても、ルーカスには軽く指導しておいた。もう一生抱っこに口出しはしないだろう。

 髪の毛の手入れが終わると、ミリィを抱き上げてベッドへ運んだ。ベッドに横になる姿を見ると、本当に大きくなったなと思う。昔はすごく小さくて、ぷにぷにコロコロしていて、とにかく愛らしくて国一番の可愛さだと思った。最近はだんだんと大人へと成長し始め、愛らしくて、だけど少女ながらに色気が出だして世界一の美少女だと思う。これからもどんどんと綺麗になり、男女問わず虜にするだろう。

 一人で寝れないのに寝つきは良いミリィは、もう寝息をたてていた。俺にぴたっとくっついて眠る姿は天使のようである。今はまだ守ってやれるが、将来が心配だった。いつどこでどんな奴に見初められるか分からない。そいつがどんな手段でミリィを手に入れようとするか分からない。ウィタノスだって狙っている。手の届く範囲であれば、俺の命に変えてでも守る。けれど成長するにつれ、今以上に行動範囲は広がるだろう。目の届かないところで、何かあったらどうする?

 さきほどのミリィの提案だが、ミリィ自身のやりたい理由はともかく、やらせてみるのもいいかもしれない。それがミリィ自身を守る一つの手になる可能性もある。

 ジュードはミリィのおでこにキスを落とし、自身も目を瞑った。いつでもどこでも元気に笑っていて欲しい。それが兄の願いなのだ。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。