七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 111話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 111話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」111話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 111話

 夏休みとなりジュードやシオンと双子が帰郷した。ジュードは今年テイラー学園を卒業し、今後はダルディエ領にいることになる。少し遅れてエメルやカイルも帰郷し、ダルディエ領は賑やかな夏休みを過ごした。

 北部騎士団で育てている私が孵した二頭の一角は、少しだけ大きくなっている。私が会いに行くと飛び跳ねて私の周りを走るので可愛い。小さかった角も少しだけ大きくなっていた。

 またナナについてはまだ涙の検証はできていない。泣いてと言っても毎回ニャアと鳴くのである。欲しいのは涙なのだが、伝えるのが難しいため、そのあたりはおいおい考えようと思う。それよりも、ナナの行動が最近変なのだ。二足歩行を時々するとは思っていたが、私を抱えて二足歩行するようになったのである。前足二つで私を抱えて私をぶらぶらさせたまま、後ろ足で歩くのがとても人間のようである。それを見て兄たちは笑うが、絶対兄たちが私を抱っこして歩くのを見て真似していると思う。なんだろう、最近どっちが保護者か分からない。ナナのママは私だったはずなのだが。

 ダルディエ領へ連れてきたアンとラナは、まだ若いからかすぐに順応した。私がスカートをはいている姿を見て、女の子だったんですね! と驚いていたが、いつか私が着るドレスを作るのだと、アンは息巻いている。毎日仕立て屋になるための技術を磨き、とても楽しそうだ。まだ小さいラナは普段は庭師のおじいちゃんたちを手伝っているが、それを遊びと思っているようで、こちらはこちらで楽しそうで何よりである。ラナは甘いものが好きなので、私が時々お菓子を持っておやつを一緒にしている。

 夏はおなじみの水着を着て湖で遊ぶ。相変わらず泳げない私は兄の背中に乗るのだが、兄たちが私を乗せて泳いで競争したりするのも楽しい。カイルやエメルなんかは潜水が得意のようで、よく二人でどこまで潜水で行けるか勝負していた。

 夏休みが終わるとシオンと双子、エメルとカイルはそれぞれ帝都へ戻っていく。

 いつの間にか私の誕生日がやってきて、九歳になった。

 エメルとカイルはテイラー学園へ入学した。

 ジュードは正式にレックス商会の会頭となった。いつも忙しそうであるが、楽しそうに仕事をしている。気になるのは、ちょいちょい私に宝石の付いたネックレスや髪飾りを作ったりしてくることである。綺麗だし素敵だから使わせてもらうが、何もない日に普通にくれる。元々私の意見を元に何かを作ったり、欲しいものを聞いてプレゼントしてくれるジュードではあるが、最近私に対する貢ぎグセに拍車がかかっているような気がするのは気のせいであろうか。

 そして、ずっと体力づくりのために時間を決めて歩いていた私だが、最近少し走ることも追加した。走って倒れては大変だと、走っている時は誰かに見てもらうことを兄に条件にされてしまったので、いつも侍女が見ている時に走っている。走る時間はまだ十分だけと短いが、順調に体力作りができている気がする。またいつかは三尾に一人で乗れるようになりたいので、体幹作りもはじめた。やり方についてはディアルドに教えてもらったので、部屋で毎日体幹づくりに励んでいる。

 体力を付けることで前よりは熱がでたりする回数は減ったと思う。まだ大幅に減ったとは言えないが、それでも少しは結果が出ていることに嬉しくなる。だから兄たちも少し走るのを許してくれるようになったのだ。大きな進歩である。

 そしてあっという間に季節は冬を過ぎ、春となった。社交界シーズンのために帝都へ赴く。

 いつ見てもママは綺麗である。夜会に参加するために美しく着飾ったママはとにかく輝いていて、その横に立つパパもイケメンが増していた。相変わらずパパがかっこよくてデレてしまう。また同じく夜会に参加するディアルドとジュードも正装をしていたが、うちの兄たちはイケメンだなと思う。騎士服とはまた違ったかっこよさがあり、マントのように肩にかけている袖付き上着がまたかっこよさを際立てている。ジュードは相変わらず女顔ではあるが、今日は普通に男性に見える。元々男性だけれど。兄たちは普段とは髪型も違うため、少し印象が違うのだ。これは夜会でモテるだろうなと思いつつ、エメルと屋敷の出入り口で御見送りをする。

 テイラー学園に通う兄たちはみな寮に入っているが、エメルは通いである。エメルはカイルの側近であるため、皇宮で仕事があるからだ。そして今日は予定通りカイルがお忍びでやってきたので、エメルと三人で夕食をしてベッドに入った。

「今度テイラー学園に遊びに行くね」
「テイラー学園に?」
「うん。ディアルドが卒業する前から、もう何度も見学に行っているの。男の子としてだけど」

 最近はテイラー学園の見学に行けていなかったけれど、一度二人がいるところに行ってみたいと思っていたのだ。
 カイルは驚いた表情をした。
 エメルはくすっと笑う。

「そういえば、ジュード兄上に渡されるはずの手紙を採点したと聞きましたよ」
「だって拾ったんだもの。誰のだろうと思って中を見たらジュード宛てだったの。落とし主に返す前に言い回しが変なところだけ修正して返しただけよ。そしたらちゃんとそれを清書してしてジュードに渡していたわ」
「でも男性だったのでしょう」
「それはまあ……人を好きになるのは止められないもの。その手紙をもらってどういう返事をするのかはジュード次第だから」

 私は別に男が男を好きになろうが、変な目で見る気はない。ただジュードがどういった反応したかは想像できる。

 エメルもカイルも肩を震わせている。

「でもミリィとテイラー学園で一緒に学べるのは楽しそうですね」
「そうだね。俺とエメルと三人で並んで座ろうか」
「それはいいわね! すごく楽しみになってきたわ!」

 もう寝る前だと言うのに、盛り上がる三人だった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。