七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 105話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 105話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」105話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 105話

 あっという間に夏休みとなり、テイラー学園へ通う兄たちと共にダルディエ領へ帰郷した。今年はディアルドが学園を首席で卒業したのだった。生徒会長や家の仕事など様々なことを平行して行っていたはずなのに、ダントツで主席だったというからさすがというべきか。

 ディアルドは今後はダルディエ領へ戻るため、今後は私もしばらくはダルディエ領暮らしとなる。しばらくの添い寝役はディアルドなのだ。

 ダルディエ領へ戻ってきたことで、私は体力をつけるべく、屋敷の広い敷地を使って毎日歩くようになった。散歩は時々していたが、そういった緩いものではなく、体力や筋力を付けるためが目的なので、毎日しっかり歩いている。

 ラウ公爵家のルーカスに体力をつけたほうが良いというアドバイスをもらったからだが、やはり最初は兄たちが難色をしめした。けれどいつまでも身体が弱いままは嫌であるし、ながく元気でいるためには身体を強くしたいと熱弁し続け、無理をしないことを約束することで了承を得た。しばらくは歩いて足腰を強くすることを目的としている。

 服だけは少年の恰好にして、いつも庭の端から端までをナナと一緒に歩くのである。一人ではないから寂しくないし、ナナに私が体調悪くならないか見てもらうと兄たちは言う。私がナナの面倒を見るの間違いではないか、とは思うのだが。

 ナナが卵から生まれて早一年。生まれた時から大きかったナナだが、今では生まれた時の倍くらい大きくなっている。つまり、もう私は抱っこできない。ただママの飼い猫ココのように自由な性格ではなく、いつも私のあとをついてくるので可愛い。一緒に庭に出ても失踪したりせずに私の横にぴったりとくっついている。顔も子猫の幼い顔から大人の顔になっているが、いつも私に撫でてもらいたがる甘えん坊だ。

 ダルディエ領へ戻ると同時に、家庭教師のおじいちゃん先生も一緒についてきてくれている。私が先生が好きで、また相性もいいからである。先生がおじいちゃんなこともあり、私一人にのんびりと教えるのがちょうどいいようで、うちに住んでもらっている。マナーの先生はダルディエ領までは来れないというので、後任の先生を探し中である。

 エメルやカイルがダルディエ領に帰ってきてから、また一段と賑やかりになり、湖で泳いだり、遠乗りに行ったり、街へ買い物に行ったりと楽しんだ。

 夏休みが終わると、ディアルド以外の兄たちは全員帝都へ戻っていった。

 そして八歳となった夏の終わり。
 私はというと、家庭教師の先生と勉強したり、歩いたりを日課にしながらも、最近は侍女と護衛を連れてダルディエ領の街を見て回ったりしていた。最近は三時間ほどなら街へ行ってもいいと、パパの許可も出ていた。

 そうやって街で買い物を楽しんでいたある日、街のある一角で騒ぎがあった。昼間から飲んで騒いでいた男たちが、若い女の人二人に絡んでいるのである。街の警備を呼んで来ようか迷っていた時、とある男性が圧倒的な力で酔っ払いの男たちをねじ伏せたのである。

「かぁっこいいー」

 思わずつぶやいてしまった。
 若い女の人は泣きながら感謝していたし、それを見ていた街の人たちからも歓声が上がっている。

「あれはウェイリーですね」

 護衛が言った。

「知っている人?」
「この街では有名ですよ。揉め事なんかをまとめてくれたりするんですが、本業は金貸しと傭兵貸しをしています」

 確かに揉め事には強そうな強面である。力も強そうであるし、イケメンである。

「確かに有名ですけれど、女好きとしても有名なんですよ」

 侍女が話に入ってきた。

「飲み屋で女同士の争いがあったとか、女性との約束が重複していて、結局三人でデートしたとか。気持ちは分かりますけれどね、いい男ですねぇ」

 侍女はうっとりしている。確かにウェイリーはいい男だった。この世で一番かっこいいのはパパだと思っているが、ウェイリーも私の好みに近い。颯爽と現れて、酔っ払いを対処してくれるところなんかも、惚れる要素であろう。

「ちょっと、ついていってみようか!」
「……お嬢様?」

 ウェイリーを遠くから追う私、それを追う侍女と護衛の構図ができあがった。

 それからというもの、街へ出ればウェイリーを探し、ついていく日々が続いた。これがなかなか楽しいのである。女性と遊んでいる場面があったりするが、金貸しという職業柄か、ガラの悪い人たちといる時もあって、襲ってくる人なんかを軽々とさばいている。それを見て、かっこいい! と、きゅんとするのだ。侍女は一緒になって楽しんでくれているし、護衛は少しあきれ顔だが、私が危険でなければ問題ないようで付いてきている。

 ああ楽しい。かっこいい姿を見れるし、どんな女の人が好きなのか、好きな食べ物や好きなお酒などを調査している時、はたと気づくのだ。私はストーカーかもしれないと。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。