七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 101話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 101話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」101話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 101話

 七歳の夏休み明け、帝都で暮らし始めた私は、昼間は家庭教師の先生から勉強を教わっていた。いままでも自主勉強をしていたため、特に苦手意識もなく順調に勉強は進んでいる。先生はおじいちゃん先生なのだが、温和で優しく教えてくれるので、私は先生がすぐに好きになった。どうしても前世の知識があるため、この国の常識を理解するのに先生が分かりやすく教えてくれるため覚え甲斐がある。

 マナーの先生も依頼はしているが、家庭教師とマナーの先生を一度に学ぶのを開始すると混乱するといけない、ということで、マナーの先生から教わるのはもう少し先になりそうである。

 何度か男装してジュードのカツラを被り、テイラー学園へ見学に行った。見学というと、普通は一度か二度行う場合がほとんどらしいのだが、私はすでに八回ほど見学している。おかげで、毎回の見学手続きもほぼ顔パス状態である。

 いつもはディアルドやジュードの講義に一緒に参加することが多いのだが、たまたまシオンと会ったので、シオンの講義についていった。予想通りというか、やはりシオンはテイラー学園でも一匹狼状態であった。もしかしたら私が見ていないところで友人がいるかもしれないが、少なくとも私が見学した時には誰とも会話をしていなかった。

 シオンが一緒に来ていいと言うので一緒に行ったのに、なぜかその講義は試験だった。みな無言で試験を受ける中、シオンだけ私というお邪魔虫が付き、よく先生が許可したなとは思うが、試験内容なんて子供には分かるまいと判断されたのだろう。その試験問題は数学だった。

 数学だけは前世から得意な私は、シオンの解いているところを見て、何だこれはと思ったものだ。というのも、シオンは考え込みながら解いてはいるのだが、どこか違和感があるのである。何が違和感か分からないまま、途中で答えが間違っている問題があることに気づいた。

(その六個目の問題、答えが違うよ)
(え、そう? 答え何)
(たぶん八七九二だと思う)
(おー。ありがとう)

 妹が答えを教えるのを変だと思わないのがシオンである。そんな感じでいくつか私とやりとりしている内に、感じていた違和感に気づいた。

 たぶんシオンは、誰かの頭を覗いて答えを見ている。思考を読み取っているとでもいうのか。つまりカンニングである。なるほど、シオンの天恵は、訓練の結果ここまできているか、と遠い目をする。答えを教えている私も私だとは思うが。

 いつも試験はこうやって乗り切っているのだろう。ダルディエ領にいる時から勉強しているところをあまり見ていなかったので、よく入学試験に通ったなと思っていたが、こういうことかと理解する。

 何も突っ込むまい。シオンはこのままでいいのだ。たぶん。
 そうやって兄の不正に目を瞑った。

 それから皇宮のカイルのところにも数日に一度は遊びに行った。遊びと言っても、カイルもエメルもやることがあるので、せいぜい一緒にお茶するくらいだ。ただ私が遊びに行くと、カイルのもう一人の側近であるソロソが喜ぶ。なぜかというと、エメルもカイルも休憩を取らないらしいのだ。だから私が行くと強制的に休憩できるからと、毎日でも来てほしいとソロソは言う。さすがに毎日は行けないが、私は休憩は大事だと思うので行ける範囲でカイルのところへ行く回数を増やした。

 カイルといえば、実は十日に一度ほど、お忍びでダルディエ家へやってくる。お忍びなので、もちろん皇太子ではなくエメルの友人という立場である。私とエメルが毎日一緒に寝ているのを知り、ジト目でエメルを見ていたので招待したのだ。だから十日に一度は私とエメルとカイルの三人で寝ている。夜にわいわいできて結構楽しい。

 そうやって充実した日々を暮らしているうちに、季節はあっという間に冬である。

 最近、やっとマナーの先生が来ることになり、いろんなマナーレッスンが始まった。これが思ったより私には辛い。貴族のお嬢様らしく、格式ばったドレスを着て、お辞儀の練習や挨拶の練習、綺麗に見える食事の仕方、お茶の仕方、他にもたくさんあり、頭がこんがらがるのである。またマナーの先生はどこかの貴族の夫人なのだが、これまた性格がきつく、少し失敗すると持っていた扇子で腕や太ももをパシッとやられるのである。両親や兄に甘やかされている身としては、とにかく辛くて、冬休みとなりマナーの先生から離れてダルディエ領へ戻れる日が待ち遠しかった。

 そして待ちに待った冬休みのため、エメル以外の兄たちと共にダルディエ領へ戻るのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。