七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 100話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 100話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」100話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 100話

 夏休みのため、ディアルド、ジュード、シオンが帰郷した。動物遣いの天恵持ちだと報告すると、三人とも複雑な表情をした。特にシオンは「アカリエル公爵には天恵のことを絶対言うな」と注意してきた。

 一般的に天恵を持っていても「天恵持ち」だとは言わないほうがいいことは分かっているため、言うつもりはないが、なぜ天恵持ちの血族というべきアカリエル公爵には特に言うなというのか分からなかった。訓練させられるということだろうか。

 ナナは住まいを北部騎士団からダルディエ邸へ移した。体は大きいのに顔が幼くて、とにかく可愛い。猫好きのママはナナにでれでれで、ココは面白くないらしく、ときどき拗ねている。ナナはだいぶ歩けるようになり、そうするといつも私の後を追いかけてくるので、ますます私も可愛くて仕方がないのである。

 ジュードにお願いして、特注の首輪を作ってもらった。雌雄がないので赤色のリボンが可愛い首輪を作ったのだが、ナナに似合っている。

 今回はジュードが試作品の水着を数着見せてくれた。
 私が着るものは、ワンピースタイプの水着で短いスカートが付いていて、さらにひざ丈までのズボンが付いている。本当はズボンではなくパンツにしたかったのだが、この国は足を出すことをあまり良いとはしないので、苦肉の策である。

 少し水着の話とは外れるが、足を見せるのは良いとはしないのに逆に胸は見せ放題、というと語弊があるが、ドレスでも胸の上の丸みなんかは出しているデザインは多い。足は隠して胸隠さず。これをちぐはぐだなと思うのは、私だけのようであるが。胸の大きい人だけでなく、そうでない人も、コルセットで締め上げた腰の上に、寄せて上げた胸を強調させドレスを優美に着用するのだ。

 と、少し脱線したが、つまりは水着の上半身は胸の形が丸わかりでも抵抗がなさそうなので、水着の胸の部分は前世のような胸のデザインにした。まあ、今の私はツルペタですけれど。

 兄たち用には、上半身は裸でいいだろうということで、ひざ丈までの緩いズボンタイプである。前世のとほぼ形は一緒。

 生地は前世と同じようなものはないので、いくつか濡れても伸びそうで、苦しくなさそうな生地を試してみた。そして出来上がったのが試作品である。

 上の兄より遅れたがエメルやカイルも帰ってきたので、さっそくみんなで水着を着て湖で泳いだ。普段泳いだりすることがないのに、さすが鍛えているからか、運動できるからか、兄たちはなんなく泳いでいた。そして私はなぜか泳げない。水に沈んでいく。なんでだ。運動神経がないのか。

 ジュードやシオンに平泳ぎをしてもらいながら、私は背中に乗せてもらう形で泳ぐことになった。とにかく水が綺麗で魚もいるし、水草なんかも綺麗に見える。上から見ると湖は深くなさそうに見えるが、ディアルドやジュードも足が付かないので、思ったよりは深そうである。

 それにしても。
 さすがダルディエ家の兄たちは、普段から騎士団で訓練しているからか、みんないい身体をしている。細マッチョというのだろうか。休憩で利用するため、使用人たちが飲み物や軽食を用意してくれているが、その女の子たちが顔を赤らめてきゃっきゃしている。よかったね。

 私の場合、よく騎士団へ行くので兄関係なく上半身裸の男はよく見る。訓練後は暑いのか裸になる人が多いからだが、そんなんで見慣れているので、何とも思わない私はおかしいのかもしれない。いや、兄妹だからなのか。

 ちなみに、うちでは頭脳派のエメルでも、少しは鍛錬しているようで体つきは悪くない。カイルも毎日鍛錬していると言っていたし、二人とも上手に泳いでいる。やはり私の運動神経は全部兄たちに吸い取られているに違いない。いくら体が弱いとはいえ、運動神経にここまで差があるとは。

 水着については泳ぎやすかったので、ジュードは来年の販売を目指すと言っている。まずは貴族向けがメインとなるだろうが、いずれは平民などにも販売することになるだろう。

 しばらくはこの湖で遊ぶくらいだが、いずれは海で遊べるようになるといいと思う。ただ失敗もあった。日焼けするのである。兄たちは焼けてもよさそうだが、私はとにかくヒリヒリして熱まで出てしまった。だから、再び泳ぐ時は、湖の横の木と木の間に紐を渡し、そして大きい布で屋根のように覆ってから、それでできた影の下で泳ぐ対策をとった。日焼け止めが欲しいところだが、そういうものを作るのは今は難しいのである。

 夏休みを十分楽しみ、先にエメルとカイルは帝都へ帰っていった。そして問題は、今年は双子までテイラー学園へ入学することである。私の添い寝する兄がいなくなる。とうとう一人寝かと、思っていたら、今年に限り、私も帝都へ行くこととなった。エメル以外の兄たちは寮であるが、エメルはダルディエ別邸から皇宮へ通っているので、私も別邸に住みエメルと添い寝するということで解決となった。
 では来年からはどうするのかだが、来年はディアルドがテイラー学園を卒業して領地へ戻ってくるため、添い寝問題は解決するのである。

 そんなこんなでとうとう私も七歳になった。
 もうすぐ帝都へ行くのでダルディエ領にはしばらく戻ってこないのに、パパから驚きの誕生日プレゼントをもらったのだ。

 なんと、家である。

 ダルディエ家の敷地内に、新しく小さくて可愛い家を作っているのは双子と見たため知っていたが、それがまさかの私の誕生日プレゼントだった。

 ダルディエ家の子供は、昔は早世だったことから、まじないのような感覚で男女の名前をそれぞれ付ける。私の場合は、ミリディアナとルカルエムである。七歳を超えて成長できる子が少なかったことから、七歳になると成長できた記念で特別なプレゼントを貰うしきたりがあるらしい。

 だからって、家って。
 なんで家なんだ。

 参考のため双子は七歳の時に何をもらったのか聞いたところ、特別な遊び場をもらったらしい。自分たちでパパに要望したらしいが、特別とは何ぞ? と思って聞いたら、双子はニヤっとしたので、怖くてそれ以上は聞かなかった。きっとろくでもないことを要望したに違いない。

 とにかく、どうすればいいんだ、この家。
 さすが女の子用の家ということで、家の外も中も可愛らしい作りだ。三階建てで、可愛いキッチンや風呂、ベッドルームがいくつかあるが、普段本邸で暮らしている私がどうやって使うんだっていう。

 どうやらパパは、私がいつもぬいぐるみを持ち歩いていて、お茶する時はそれを横に座らせて一緒にお茶したり、一緒にピクニックに行ったり、一緒に勉強している姿から、そうだ、家だ! と思ったらしい。なんでだ。

 この一軒家でおままごとをしろと? 途方に暮れるとは、こういうことをいうのだろう。
 とりあえず、管理してくれる使用人のおじいちゃんがいるので任せることにした。どうせ帝都に行くので私いないしね。

 帝都へは、パパやママは行かないので、ディアルド、ジュード、シオン、双子と共に向かった。普段私は暇になるので、パパに家庭教師とマナーの先生を雇ってもらうことになっている。それにナナも一緒に連れていくので、寂しくはない。

 次にダルディエ領へ戻るのは、冬である。
 遠ざかっていくダルディエ本邸を、見えなくなるまで見ているのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。