七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 91話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 91話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」91話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 91話

 ヴィラルが目覚める気配で目を開けた私は、まだ瞑りそうな瞳を意識的に開けつつヴィラルを見た。

「もう起きる? まだ夜っぽいよ」
「うん、そうなんだけれど……何か聞こえない?」

 窓の外はまだ暗い。しかし耳をすませば、確かに部屋の扉の向こうが騒がしい気がする。

「と、とりあえず、ベッドから出よう」
「そうだね」

 頷きあい、そろそろとベッドから降りて、扉から一番離れた壁に背中を付ける。
 喧騒が大きくなる。間違いなくそれがここに近づいている。

「もしかして、俺が部屋にいないの、ばれたのかな?」

 私を捜索しているのかもしれない。そうであれば、私がここにいれば、ヴィラルも怒られる可能性がある。いや、そもそも私はヴィラルと会っていないことになっている。怒られるよりも折檻受ける可能性もある。

 さあっと青ざめるのを感じた。そうなると、芋づる式に女だということも、ばれるのではないだろうか。

「そのときは、僕が呼んだっていうから、大丈夫だよ」

 なんと優しい。ヴィラルは落ち着かせようと、私の手を握った。

 バン! と扉が音を立てて開いた。廊下から漏れる明るい光に目を細める。誰だ。やはり騎士が立っているようだ。クォロ公爵の命令でやってきたのだと身構えた時。

「ミリィ!」

 懐かしい声が聞こえた。
 眩しくて見えない。けれど、その声は。

「ジュード!」

 ヴィラルの手を離し走った。
 近くまで行くと、ジュードの顔が確認できた。ディアルド、シオン、双子もいる。

 ジュードは私を抱きしめると、ぎゅーと力を込めた。

「お待たせミリィ。頑張ったね」
「……うん」

 誰かが頭を撫でている。
 涙が出た。懐かしい温度に。優しい声に。

 ジュードが体を離した。

「怪我はない? 痛いところは? 熱はない?」

 手で私の顔を包み、ジュードは顔を覗いてくる。

「大丈夫」

 ディアルド、シオン、双子の顔を見る。会えてうれしかった。

「みんな迎えに来てくれて、ありがとう」

 思った以上に早かった。きっと無理しているに違いない。
 ジュードが私を抱え上げた。

「俺たちの大事な妹なんだから当然だよ」

 騎士に連れられ、ヴィラルが傍へやってきた。

「ヴィラル! 俺のお兄さまたちなんだ」
「……妹って」
「あ」

 そういえば、ジュードが妹と言ってしまった。でも、兄たちがやってきたということは、もう性別だって偽らなくてもいいのかもしれない。

「ヴィラル、実は、私男の子じゃないの。女の子なの」
「え!」

 ヴィラルの顔が見る見るうちに赤くなっていく。

「僕、女の子と一緒に寝てたの?」
「あ、そうだった。ミリィ夜寝られないから、ヴィラルに一緒に寝てって頼んだの」

 兄たちの笑顔が怖い。別に兄妹ではないけれど、まだ子供だもの、一緒に寝るくらい問題ないだろうに。

「……それは、ザクラシア王、妹の代わりに私が感謝を申し上げます」

 ディアルドは丁寧に礼をするが、やはり声音が低い。機嫌が悪そうだ。

「あの、僕……責任とります! 妹さんと結婚させてください!」
「「「はい?」」」

 見事に私と兄たちの声が揃った。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。