七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 83話 パパ視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 83話 パパ視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」83話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 83話 パパ視点

 結局、息子たちが到着した日は、夕方だったこともあり、ザクラシア王国へ行くための準備で終わってしまった。息子たちは明日のために休息も必要である。
 困ったことに双子も娘を迎えに行くと言ってきかず、どこかにしばりつけておくことも考えたが、結局連れていくこととなった。親の言うことなど聞かなかった、若いころの自分を見ているようである。

 娘を誘拐した犯人が使ったと思われる港は、我々は使わないことにした。犯人たちが使ったのは、ダルディエ領の東にある港で、そこから海で北上し、ザクラシア王国の東にある港に到着する経路だと思われた。しかし、その経路だとザクラシア王国へ近づくにつれ海賊が出やすい地域を通ることになるのだ。犯人は海賊に繋がっている可能性もあり、彼らがすんなり通れたとしても、我々はそうもいかないのである。

 そこで、ダルディエ領の西、隣の領にある港ルピから北上し、ザクラシア王国へ入る計画にした。

 次の日、私と息子、それに護衛騎士と影は屋敷を出て港ルピを目指した。ルピまでは馬で一日半走り続けた。ルピでは知人が待っていた。先に伝書バトにて色々と頼み事をしていたのだ。
 知人は、ルピからザクラシア王国の到着予定である、港エベラまでを走る船の席を準備してくれていた。

 ルピに到着した次の日の朝出発した船は、その日の夕方前にエベラに到着した。
 そこは極寒の地だった。ダルディエ領も冬は寒いのだが、それの何倍も上を行く寒さ。屋敷で準備していた防寒着を着こんだが、それでも寒い。
 ところが、こんな寒い思いをしているのは、私と護衛と影だけらしい。息子たちは薄手なのに涼しい顔をしている。

「寒くないのか」
「ちょうどいいです」

 ディアルドが申し訳なさそうに言う。フローリアの血は、問題なく息子たちに引き継がれているようだ。

 ザクラシア王国の神の恩恵の話は、本で読んだのと、フローリアに話を聞いたくらいで情報は多くない。まずは極寒の地ザクラシアの国民が、温かくくらしていけるのは恩恵のおかげである。そして、フローリアは王家の特殊な恩恵を受けているため、子供たちも同じ恩恵を受けられる、ということだ。それを目の当たりにしている今、恩恵のありがたさを感じる。私にはその恩恵はないが。

 それとシオンの天恵がミリディアナと通じなかったことについてだが、フローリアに変な話を聞いたことを思い出したことから仮説をたてた。
 ザクラシア王国はとにかく閉鎖的な国で、はるか昔から国盗り合戦ではなく、自国を守ることだけに重視した国だ。ザクラシア王国と国境を接する国は、我がグラルスティール帝国と、ザクラシア王国の東にあるフローエ王国のみ。昔、国盗りに興味のないザクラシア王国に攻め入ったフローエ王国は、逆に返り討ちにあったという。

 負けたフローエ王国は、その補償として渡す金がなく、国の一部をザクラシア王国に渡したのである。その一部は現在のザクラシア王国の最東の地にあるが、そこは元はザクラシア王国ではなかったがために、神の恩恵が受けられないという。どういうことかというと、ザクラシア王国内であると神にはみなされていないため、作物は育たない、温かくもない、他の恩恵も何もない。ただの元のフローエ王国の一部の環境のままなのだという。

 私たちには見えない、神の保護のような範囲が明確にあるらしい。それが後から国の一部となった元フローエ王国の土地以外の、建国当時からのザクラシア王国の国境をぐるりと囲んでいるとフローリアは言っていた。

 つまり、シオンの天恵が娘と繋がらないのは、ザクラシア王国にある国境の見えない壁のようなもので遮断されているからではないかと思ったのである。

 その話について海を渡る船の中で息子たちにしたのだが、ザクラシア王国に到着すると、その仮説が正しかったのではないかという出来事があった。
 シオンが娘と連絡できたのである。

 ほっとした。元気そうだったと聞いて、私が寒いことなどどってことないと思った。
 娘はザクラシア王のそばにいると聞いて、目的地は王都となった。
 ここからは誰の協力も得られない。すぐに王都へ向かう準備をしなければ。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。