七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 78話 ディアルド視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 78話 ディアルド視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」78話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 78話 ディアルド視点

 その日は学園が休みだったため、たまたま帝都のダルティエ別邸へ戻ってきていた。帝都の街で必要な物を買いそろえた、その帰りに寄っただけだった。
 家令のゼバンに用事があり待っていると、そのゼバンが慌てて近寄ってきた。いつも冷静沈着なゼバンが珍しい態度だと思っていると、小さな紙を渡された。

「旦那様から緊急の連絡です」
「緊急?」

 紙には走り書きでこう書かれていた。

『ミリディアナが誘拐された。手の空いている影とネロを緊急帰還』

「は?」

 なんだこれは。見たくない文章だった。

「いつのだ、これは!」
「今伝書バトにて届いたばかりです。おそらく六時間ほど前に起きた出来事かと」

 何がどうなっている? 情報が少なすぎる。

「ネロは?」
「今ちょうど手すきで、本日はシオンさまとアカリエル公爵家へ行っています」
「シオンと共にネロも呼び戻せ。それと空いている影の人数は」
「本日戻ってきたものがおりますので、三名ほどかと」
「その三人を招集。それとジュードにここまで緊急呼び出しをしてくれ」
「かしこまりました」

 シオンが髪を使って長距離でも会話ができるときいて、自分の髪を渡しておけばよかったと後悔する。そうすれば、すぐにシオンとネロを呼び出せたのに。

 ディアルドの頭の中は、妹のことでいっぱいだった。まさかウィタノスがもうやってきたのだろうか。どうやって誘拐された? 家の中か? 外か? 外なら護衛がいたのではないのか?

 この状態で学園に帰ってもどうせ集中できない。ディアルドは招集した影とネロと共にダルディエ領へ帰ろうとすでに決めていた。

 父は影とネロだけ送るように言ったのだろうが、それを大人しく聞いてられるほど大人でもない。初めて学園をさぼることになるが、もうどうでもよかった。

 そして、ディアルドが戻るならジュードも戻るというだろう。シオンはディアルドがどっちでも関係なく戻るだろうが。

 エメルに連絡するべきか。カイルと一緒に頑張っているエメルは、この別邸で暮らしている。夜になれば帰宅するが、それまで待っていられないし、エメルは戻ってくるわけにもいかない理由がある。

「ディアルドさま、準備は馬車ではなく、馬でよろしいですね?」

 さすが優秀な家令である。こちらの思考は読めているらしい。

「ああ、七頭頼む。それと、今このことを知っているのは、お前だけだな?」
「さようでございます」
「では、このまま箝口令を敷く。この件が解決するまでエメルにも決して口外するな」
「かしこまりました」

 エメルには恨まれるだろうか。
 それは今考えても仕方のないことだ。帰省するべく、準備をするために部屋へ移動するのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。