七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 74話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 74話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」74話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 74話

 思いもよらぬ時に前世の告白をすることになったが、何か解決したわけではないけれど、心がすごく軽くなった。今すぐにウィタノスが襲ってくるとは思えないが、それでも自分だけで自分自身を守るのは限界があり、兄たちが協力してくれるのは心強かった。

 兄たちは私の身を守るために、外出時は護衛を付けるように、とのことで、さっそく本日はエメルと一緒に街へ買い物に出ている。護衛二人付きだ。私の恰好はジュードの金髪カツラに男装である。

 兄会議後、兄たちはパパには全て話しているという。だからパパの協力も今後得られるということだ。ママには内緒であるが。ママを心配させると、パパが大変ですからね。

 エメルにお金の使い方を教えてもらっているのだが、聞いているとさすが貴族と思えるようなやり方だった。

 高級なお店で何か買う時は、「公爵家へ請求してね!」これだけである。基本は公爵家の人間だと、お店の人は知っているから顔パス。要は公爵家へのツケ! のちのち、公爵家がまとめてお支払いするのだ。
 公爵家の人間じゃない人が「公爵家にツケといて」はできないらしい。そういう場では詐欺は難しいようだ。だから顔パスできるように、あらかじめあいさつ回りしておかないといけないのだ。でないと、公爵家の人間なのに、ツケができないことになってしまう。
 こういうものは信用問題で、たとえ貴族だとしても支払い能力がないとバレていると、購入だって渋られてしまうのだそう。恥ずかしいことなのですって。

 中規模から小規模のお店であれば、支払いは付き人や侍女、護衛などの使用人が行う。つまり、貴族は財布を持たないのだ。一緒に付いてくる使用人の信用は大事ですね。場合によっては、使用人がちょっとずつ、ねこばばする人もいるんだとか。

 自分で支払いしたかったのだけれど、まずはやり方覚えるためにも、護衛に財布を持ってもらっている。
 ちなみに、双子はよく街へ買い物へ行っているけれど、支払いは自分たちでしているそう。これは公爵家の令息が買うものではありません! などと怒られるのが嫌なのだろうと思う。じゃあお金は誰に貰っているのかというと、家令兼執事のセバスが管理しているらしい。今日街に行くから用意しといて、という言葉で用意してくれるらしいけれど、少額とは言っているものの、双子の少額っていくら? 怖くて聞けない。というより、お金を使ったことない私は初心者中の初心者なため、聞いても分からないのだが。

 高級なお店には興味がないため、今連れてきてもらっているのは、庶民的なお菓子や素朴なお茶菓子が売っているお店で昔からある老舗らしい。色とりどりの可愛いアメやグミ、クッキーが並んでいて、目移りしてしまう。

「好きな物選んでいいですよ」
「じゃあ、このアメとグミにする!」
「ぼくはこっちの焼き菓子にしようかな」

 護衛が支払いをするのを待ち、外へ出る。寒いこの季節、店の中は温かいが、外は雪で真っ白だ。
 買ったお菓子が嬉しくて両手で紙袋を持っていると、雪にすべってしまった。

「危ない!」

 間一髪で、護衛が助けてくれた。さすが反射神経がいいですね。

「大丈夫ですか、お嬢さま」
「ありがとう。でもお嬢さまじゃないのよ、ルカって言ってね」
「……申し訳ありません、そうでしたね」

 外出時、男装の場合はルカルエムのルカで統一しているのである。普段はお嬢さま呼びなので、慣れないらしい。

「ミ、ルカ、手を繋ぎましょう。また滑るかもしれませんし」
「うん」

 エメルまでミリィと言いそうになっている。家ではミリィ呼びだものね。
 エメルと手を繋ぎ、それから本屋と文房具が売っているお店に寄り、その日の買い物は終了した。

 家でさっそくアメとグミを食べたが、グミがすごく美味しかった。弾力が私好みで、色ごとに味が違うのだ。

 それから、兄会議まではずっとシオンが添い寝担当だったが、兄会議の後はまた兄たちのローテーションとなった。
 そしてあっという間に冬休みは過ぎ、ディアルド、ジュード、シオン、エメルは帝都へ戻っていった。

 双子との添い寝に戻ったが、あれからも悪夢は見る。以前見た、ウィタノスを殺す夢も見る。悪夢を見ればうなされるものの、前より怖くなくなったような気がする。それは兄たちに前世のことを明るみにしたことで、兄たちが味方になってくれたのが心強いからだろう。

 今日も左右に双子がいる中、深い眠りに落ちるのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。