七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 66話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 66話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」66話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 66話

 私、ミリディアナは六歳になった。
 先日パパとママに、ダルディエ領の街に連れて行ってもらった。帝都ほどではないが、なかなか大きい町で活気がある。レストランや買い物ができて楽しいが、いかんせん私たち一家は目立つ。

(そりゃそうよね、公爵であり領主一家だもの)

 ダルディエ家の紋章のある馬車から降りれば、「公爵一家だ」という目でみられる。パパもママも目立つ容姿をしているし、紋章入り馬車でなくとも気づかれただろう。

 私は私でママ譲りの髪に顔をしているから、間違いなく目立っている。

(この髪って、隠密行動には向いてないよね)

 ザクラシア王家ゆかりの髪だと分かった今、グラルスティール帝国でこの髪を持っているのは、知っているだけでママとティアママと私だけで、他にいたとしても一桁程度の人数であろう。髪だけで誰なのか検討が付くなんて、不便である。悪いことはできない。

(別に率先して悪い事しようと思っているわけじゃないけど)

 何となく、誰ともなしに言い訳めいたことを思ってみたりする。とにかく、目立ちたくなくても目立ってしまうのは、かなり不便なのだ。

 住民たちが私を見て、噂話をしているのが聞こえる。

「あの子、公爵さまの末っ子かねぇ?」
「可愛い子ねぇ! でも男の子かしら?」
「末っ子は女の子じゃなかった?」
「いや、双子じゃなかったか?」
「そういえば双子もいるんだよね」
「双子は上の兄たちじゃねぇのか? いたずらっ子がいただろう」
「もう一組双子がいるんじゃないのかい?」
「じゃあ、女と男の双子ってわけかい! 今日連れてきているのは、男の子のほうか」
「男の子であんなに可愛いとなれば、女の子はさぞ、べっぴんだろうねぇ」

 なるほど、こうやって本当と嘘の噂がごちゃまぜになり、本人さえ知らない話が出来上がっていくのか。噂話って怖い。そして、バルトとアルト、いたずらっ子とか言われているよ。まだその程度の可愛い噂でよかったものだ。本当の彼らを知れば、いたずらっ子など可愛すぎる噂だと知ることとなるだろう。

 私の髪はまだ少年のようなので、エメルの男の子の服を着ている。スカートより動きやすいし、お気に入りである。内心、このまま男の恰好でいたい、そんなことさえ思うが、ママの手前もちろんそれは言わない。

 それからしばらくした秋晴れの日。
 ジュードが依頼していたカツラが届いた。私の髪で作ったカツラと、ジュードの金髪で作ったカツラである。

 私の髪で作ったものは、肩より下の長さである。一度それを装着してスカートをはいてママに見せると、泣いて喜ばれた。そんなになるほど喜ぶもの?

 ジュードの金髪で作ったものは、肩より少し上くらいの長さで、ボブスタイルといったところか。また一度装着して、男の恰好でママに見せたところ、小さいころのジュードみたいと懐かしがられた。金髪のカツラは、男の恰好でも女の恰好でも使えそうである。

 自分の髪のカツラよりジュードの髪のカツラが気に入った私は、外へ出るときは、ほとんどこの金髪カツラで過ごした。

 金髪カツラに少年服で、双子に騎士団へ連れて行ってもらった。
 騎士たちは、最初ジュードが小さくなったとか、お嬢様は双子だった? とか、ざわざわしていたが、ダルディエ家の末っ子の娘だけれど、この格好の時はルカ呼びで! とふれ回った。
 少年としても定着させる気満々である。

 髪を切って悲しませたママには悪いが、思った以上に少年の恰好は楽しいかもしれない。
 ママの目を盗んで楽しむのが、くせになりそうだと思う私だった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。