七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 63話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 63話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」63話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 63話

 夏休みになり、ディアルドとジュードが帰省した。二人は夏休みだからといって遊んでばかりということはなく、騎士団へ行ったりパパの仕事を手伝ったり、ジュードは商会の仕事もしていた。また、強欲な姉が二人いるカロディー家には、帰省中はパパの代わりにディアルドとジュードが対応していた。

 私は一度ジュードと一緒にカロディー家へ行ってみた。三女ユフィーナがどうしているのか気になったからだ。

 カロディー家の長女と次女は、跡継ぎではないジュードには興味がないらしく、来たのがディアルドではないと知ると、明らかに手抜きの態度になった。そのあからさまさに、飽きれた気持ちになるが、ジュードは気にも留めていないので、問題ないことにした。

 長女と次女がジュードに興味がないのは、ジュードがあまりにも美人なものだから、自身の美貌に自信のある彼女たちからすると、なにやらライバル心のようなものが沸き上がるからかもしれない。

 確かにジュードは美人である。百七十センチ近い身長でママ譲りの美貌と美しい金髪は、女神のようだと思う。だが、そこには注釈が入る。

 ――黙っていれば。

 口を開けば、声は男で、口調も男、そして美しく笑いながら毒を吐くのである。私は怒られたことなど一度もないが、シオンや双子なんかは小さいころからジュードによく怒られていた。だからか、シオンや双子が何かイタズラや企んでいることなどがあっても、ジュードにだけは見つからないように、と巧妙に隠す癖がついていた。

 それにジュードは好き嫌いが激しい。表向き、それを顔に表すことはしないし、他人はそれに気づかない。けれど今回も、長女と次女と初めての挨拶で握手をした後、執務室に入ったとたん着用していた手袋をゴミ箱に投げ捨て、「卑しさがにじみ出ているな」と吐き捨てていた。

 残念。長女、次女、ばれてますよ。

 長女も次女も、跡継ぎではないジュードには興味がないだろうが、うちの兄妹の中で敵に回すべきでない筆頭がジュードである。彼女らに未来はないな、そう思いながら、私は三女とお茶をするべく部屋を移動した。

 三女に家庭教師、マナーや教養の先生が付いて、かなり学ぶことがあったらしい。以前とくらべものにならないくらい明るくなっているし、知識を得ていることが自信に繋がるのだろう、いつかは長女や次女に負けないと、弟を守るのだと、はっきり口にしていた。

 三女は女性の学園へも通う予定だという。
 いつかは長女や次女に負けないというが、私が見る限り、その未来は遠くないかもしれないと思った。

 カロディー家の問題の、解決までの道のりが順調そうなのを確認し、ジュードの仕事終了と共にダルディエ家へ戻る。

 そして一週間ほどすると、今度はエメルとカイルが戻ってきた。

 カイルは相変わらず表情が乏しいものの、一緒にいて細かい仕草や表情を観察するうちに、表情のわずかな変化でも心の機微が分かるようになってきた。
 それは普段一緒にいるエメルも同じようで、いつも丁寧なエメルがカイルに対して気安い態度をとっているのを見ると、二人も仲良くなったのだなと、私も嬉しくなる。

 そんな夏休みはあっという間に過ぎ、エメルとカイルは帝都へ帰っていった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。