七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 54話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 54話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」54話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 54話

 せっかくの夏休みだから、ずっと勉強にはげむわけでなく、エメルとカイルは午前は勉強、午後は馬に乗ったりエメルが敷地を案内したりとすごしていた。
 今のところ、二人は私の筆算のやらかしを人に言うつもりはないようで、ほっとしていた。

 今日はというと、湖で船に乗りたいとジュードにお願いしたのを叶えてもらうのだった。
 船と言ってもボートといっていい代物だが、現世では船のようなものはひとくくりで船というのだ。

 兄たちとカイルもつれて、全員で湖にやってきている。
 少し離れた船には、シオンと双子が乗っており、なぜかすごいスピードでぐるぐる回っている。

(あれに乗っていなくてよかった)

 あんなに回ると、酔える自信がある。

 組み合わせは、ジュードと私で一隻、ディアルドとエメルとカイルで一隻である。
 ジュードは湖の中央あたりまで進むと、船を止めた。
 湖の中央では、端よりも深さがありそうだった。

「ミリィ、乗り出すと危ないよ」
「うん」

 小さい魚が太陽にキラキラと反射している。

「ジュード」
「うん?」
「海とか川で泳いだりする?」
「泳ぐ……川で足をつけたりはするけれど。国の北の方では海では泳がないかな」
「そうなの……」

(泳ぐこと自体しないのかな)

 がっかりする。

「あ、でもラウ領とか、それより南の方は泳いだりするって聞いたことあるよ」
「本当!? ミリィも泳ぎたい!」
「えぇ!? 海で?」
「海じゃなくて、この湖で!」
「うーん……」
「南の方では、どういった格好で泳ぐの?」
「聞いたことないな。今度調べてみるよ」
「ありがとう! ジュード!」
「わぁぁぁ! ミリィ! 危ないから立たないで!」

(泳ぐと言ったら、水着でしょ!)

 ジュードは必ず調べてくれるだろう。今年の夏は泳げるかもしれない。気分上々である。

 それからジュードが調べてくれたことによると、水着っぽいものを着て泳ぐらしいと聞いて、喜んだ私だったがその内容に驚いた。

(それ、水着じゃないよ、薄い服だよ)

 普段貴族が着る服は、コルセットだったりペチコートだったり、着用するものが多い。そういったものを取り外し、薄手の生地のワンピースのようなものを着て海に入るらしいのだ。
 そんなもの着ていたら、水をすいとって、服が重くなりそうなものだ。それにスカートだって、海の中では浮遊するだろうに。

 驚くことに、現世には下着という概念がなく、だからパンツがない。あえて下着というなら女性の場合はコルセットやペチコートくらいである。人によってはスカートの中に薄手の膝丈のズボンを履いている人もいるようだけれど、それは少数派。つまり、みんなノーパン。

 もう一度いう。みんなノーパンだ。

 前世での中世ヨーロッパなんかは、ノーパンだったとかペチコートが下着代わりだったとかいろんな説があるけれど、まさかこの世界にも下着の概念がないとは思っていなかった。

(海の中、ノーパンでスカートめくれたら、丸見えじゃないの?)

 海の中なら見えない、という認識なのだろうか。私は嫌だ。

 ノーパン生活は平民も一緒である。その平民は、いつもの恰好で普通に海に入るらしい。

(がっかりだな)

 ジュードには悪いが、期待外れの情報だった。

 現世のノーパン事情だが、スカートを着ていてめくれると、中が見えてしまうかと思うかもしれない。

 大人の女性は、普段足を見せることを恥ずかしいと教育されているので、一般的なスカートの長さは床上ギリギリの長いスカートで、一番短い場合でも膝下なのだ。そして大抵ペチコートを穿いているので、ちょっとした風がふいても、重ね着したスカートが全部めくれるわけではない。スカート自体にまあまあ重みがあるしね。つまり、そう簡単にはスカートの中が見えることはない。

 子供はというと、スカートの長さは膝上でも許されている。まだまだ活発の子供では、長いと動きづらいというのもあるようだ。
 ただ女の子といえど、寝転がったり暴れたりするので、小さいうちはひざ丈くらいの薄いスパッツのようなズボンをスカートの下に穿いている。もちろん、私も今穿いている。

(パンツって必要だと思うのよね。将来的にはブラジャーだってほしい)

 ノーパンが恥ずかしいというだけでなく、衛生面でも必要だと思う。そもそもパンツがないのに生理中って、どうしているのだろうか。私が子供すぎて、質問できないから分からないでいた。

 今年は湖で泳ぐのは諦めた方がよさそうだ。
 私のイメージする水着は言えば作ってくれそうだから、来年に向けてジュードに提案してみようと決心する。

(水着よりも、パンツが先かな)

 ジュードに提案すべきものが、たくさんありすぎて悩む私であった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。