七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 49話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 49話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」49話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 49話

 社交界シーズンで帝都へ行っていた両親が戻ってきた。今回はシオンと双子と私は領に残ったため、両親に会うのは二か月ぶりであった。
 私は五歳になり、大人らしい口調で話すことが増えたが、早熟なエメルが大人っぽかったからか、使用人は違和感がなさそうで助かっている。もちろん、子供っぽく甘えることも忘れていませんけれど。今しか味わえないわがままですもの。

 先日夏休暇でディアルドとジュードが戻ってきた。エメルも数日後に戻ってくる予定だから、久しぶりに屋敷が賑わうだろう。全員揃うのが楽しみだ。

 パパの執務室で本を読んでいた私は、ディアルドがやってきてパパと話す内容に耳を傾けていた。
 ディアルドはこれからカロディー家へ行き、執務を行うらしいのだ。カロディー家のことは、時々パパが部下と話している中で聞くことがあった。

 カロディー家は伯爵筋で、ダルディエ家の遠縁にあたる。去年だかその前の年だかに当主とその奥方が事故で亡くなったのだ。それから当主を継いだ息子はまだ幼く、パパが後見人となり、カロディー家の執務を行っていた。その執務を、ディアルドが夏休暇中にパパの代わりに行うのだという。

「ディアルド、カロディー領へ行くの? ミリィも行きたい」
「え? ……俺はいいけれど、父上どうですか?」
「ミリディアナ、行くとなると泊まりになるが大丈夫か? ディアルドが仕事している間は、遊べないのだぞ」
「ディアルドの隣で勉強してるね!」
「……。ディアルド、ミリディアナの面倒も見るのだぞ」
「分かりました」

 カロディー領はダルディエ領の隣で、馬で二時間ほどかかる。そこで、私はディアルドと馬でカロディー領へ向かい、着替えなど必要なものを馬車で送ってもらうこととなった。馬より馬車の方が進みが遅いのだ。荷物は夜に間に合えばいいのである。

「ディアルド、パパの仕事をできるなんて、すごいね!」
「すごくはないよ。カロディーは領地も狭いし、執務の量は多くないからね。一人、日々の執務を頼んでいる部下も現地にいるし、俺がする仕事はそこまで難しいものではないんだよ」

 そんな謙遜しなくても。それとももうすぐ十六歳になる人はこれができてあたりまえなのだろうか。
 馬を走らせながら、何でもないことのようにディアルドが話す。

「そうだ、カロディーには子供が四人いる。一番下の子がミリィより二つ上で、同じ年の子はいないよ」
「わかったわ」

 私が同じ年の子に敏感に反応して警戒するのを知っているので、ディアルドは安心させるために言ったのだろう。さすが兄である。

 途中一度馬休みを入れ、カロディー家に到着した。

 今日がパパの代わりにディアルドが来る初めての日だったらしく、使用人がずらっと並び、カロディー家の子供が四人お出迎えしてくれた。自己紹介をしてくれたが、長女エレナが十五歳、次女サラが十四歳、三女ユフィーナが十二歳、そして一番下が七歳の長男レンブロンである。

(まさかこの男の子がカロディー伯爵?)

 大人しそうな少年で、なんとも頼りなさげだ。

 長女と次女は、少女から大人へと変貌中で、自らが美人だと自負しているのだろう、ディアルドを見る目が挑戦的な女のそれである。私を片手で抱っこしているディアルドのもう片側の手を、誘うような表情で長女が触った。
 私と言えば、それを唖然と見ているだけである。

「本日、ディアルドさまがいらっしゃるのを、とても楽しみにしていましたのよ。お菓子とお茶を用意していますので、ぜひ歓迎のお茶会でもいかがかしら」
「いや、すぐに執務に入りたいので遠慮しておく」

 ディアルドは無表情で長女から手を抜くと、私を下した。

「それより執事は」
「わたくしでございます」

 すっと前に出た執事に、ディアルドは頷く。

「歓迎はありがたいが、さっき言ったように俺はすぐに執務に取り掛かる。その代わりと言ってはなんだが、夕食は全員でとれるよう用意してくれ」
「かしこまりました」
「それと予定にはなかったが、妹のミリディアナを連れてきた。部屋は私と同じでいい。侍女を一人つけてくれ」
「かしこまりました」
「ミリィ、この後どうする? 予定どおり、一緒にくる?」

 うんと頷こうとすると、長女が割り込む。

「でしたら! ミリディアナさんはわたくしたちと、一緒にお茶会いたしませんか?」

 私に言っているはずなのに、長女の目はディアルドへ向いている。

「どうする?」

 私は迷ったが、お茶会の誘いに乗ることにした。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。