七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 48話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 48話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」48話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 48話

 エメルが去り、数か月が経過していた。
 シオンや双子は騎士団へ行っていていないため、私ははじめ、一人でエメルと勉強していた部屋で勉強しようと思っていた。でも一人は寂しい。エメルの家庭教師もいなくなり、本当に部屋に一人になってしまう。

 私の侍女に一緒にいてもらうことはできるが、彼女たちは一緒に勉強して話し合うことはしないので、つまらないのだ。
 だから、ダメ元でパパの執務室を訪ねた。
 大人しく勉強しているから、一緒にいたいというと、簡単に了解をもらえたのだ。

 それから最近では一日の大半はパパと一緒にいることが多い。パパの部下っぽい人も、仕事仲間のような人も、私がいても驚かなくなった。そしてパパが視察や仕事で外出する時は、侍女を連れて敷地内をピクニックして過ごすのだ。

 ママと過ごすこともあるが、ママといると、なぜかいつも私のファッションショーになる。これが可愛い、あれが可愛いと、何度も着せ替えさせられ、ものすごく疲れるのだ。

 赤ちゃんの時よりも、私の衣裳部屋は量が半端ないことになっている。ママが仕立て屋を呼んでは、自分のだけでなく私のを喜々として作らせるからだ。おかげで、毎日違う服ばかり着させられるし、少し汚すだけで、嬉しそうに次の服に着替えさせられる。

 また宝石類も増えていた。イヤリングやネックレスというものではなく、ブローチや髪留めにさりげなく本物の宝石が仕込まれている。子供にこの価値のものを与えるのは、どうかと思う。しかし宝石の加工について商人が来ている時、パパは何も言わずママの言う通り作らせるだけだ。パパはママを甘やかしすぎてはいないだろうか。

 ま、私が気にすることでもない。私は大人しく着せ替え人形になるだけだ。

 今日もいつものように侍女をつれピクニックである。
 
 この屋敷は山の上にあるからか、小さい小川と湖もある。湖はボートが数台あって、舟遊びもできるが、侍女がいても兄がいない私一人の時は、利用禁止と言われている。
 だから、今日は幅一メートルくらいの小川で遊ぶのだ。

 もう夏前という季節、はだしで小川を歩くだけでとても気持ちがいい。
 水深三センチほどしかないため、溺れる心配もない。
 いつものように可愛い高そうな服を着ているが、汚しても怒られることもないので、堂々と遊べるというものだ。

 小川にはサワカニがいたり、小さい魚もいる。私がサワカニを掴んで侍女に見せると、侍女はひきつった顔で「捨ててください!」と言う。こんな小さなものを恐ろしがらなくても。兄だったら喜んでくれるのに。

 小魚掴みに挑戦するものの、小魚は動きが早くて捕まえられないので残念である。その時、私は緑色のものを見つけた。そっと近づき、両手でそれを捕まえる。

「とったぁ!」

 それを侍女に見せようと、侍女に近づく。その時、近くをママが通る。散歩中らしい。

「ミリディアナちゃん」
「ママ! 見てー! 可愛いの!」
「何かしら?」

 朗らかに笑うママに近づき、私は掴んだままの両手を前に突き出す。
 そして、逃げないように、そっと手を広げた。

「カエルー! 可愛いでしょう!」

 ママの笑顔がそのまま固まったのに気づかず、私は緑色の小さいカエルをよく見た。前世で見かけることのあったカエルに似ている。小さい手にはちゃんと指が付いていて、表情が可愛いのだ。そして小さい尻尾らしきものが付いていて、おたまじゃくしからカエルになったばかりかもしれない。

「お兄さまにも見せたいから、家に持って帰ってもいい? ……あっ」

 大人しかったカエルがぴょんと跳ね、ママの顔に飛び移った。

「あっカエル! 待って! 逃げないで!」

 ママの顔からさらに跳んでいったカエルを追いかけていた私は、後ろでドサっと音がして振り返る。
 ママが倒れて意識を失い、まわりを侍女が青い顔で囲んでいた。

「あれ?」

 どうやらママはカエルが苦手だったらしい。パパが後にこっそり教えてくれた。
 寝込むママを見て、反省する私だった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。