七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 46話 パパ視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 46話 パパ視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」46話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 46話 パパ視点

 妻の弟であるシャイロを呼んだのは、私だった。
 冬に入る前に、一度聖職者であるシャイロに、娘のミリディアナを見てほしかったのだ。
 彼は国で聖職者として高位の地位を築いているし、その能力は本物だと妻からも聞いていた。

 なのにいきなり娘が神の化身だと言われ、ジルは困惑した。
 そもそもそういう話をしたかったわけではない。娘に何が起きているのか、彼の能力で少しでも何かわかればと思っただけなのだ。

 シャイロはなぜ娘が神だと言い出したのか。何をもってそう判断したのか。

 シャイロの話によると、まず神が降りてくると、そのまとう空気が変わるらしい。シャイロの目には、まとう空気に色が付き、輝いて見えたりするのだとか。
 高位聖職者である彼は、年に数回神の化身と会話することがあるらしく、ミリディアナにも同じ空気を感じたとのことだった。

 シャイロの目は『神に間違いない』と断言していて、それを判断できない私は、そのことに触れるのを止めた。
 たとえ娘がシャイロの言うように神だとして、だから何だ、と思うだけだ。神を軽視しているわけではない。神を敬う気持ちもある。だからと言って、ミリディアナを神にささげるつもりはもうとうない。

 あの子は私の大事な娘だ。可愛くて愛らしくて、どのようなものからも守ってあげたい存在だ。
 だから神などということではなく、あの子に起こっていることを少しでも知れれば、そう思うのだ。

 シャイロを呼んだ理由は、ミリディアナに起こっている何かについて知ることだった。

 一つ目は、悪夢について。
 まだ赤ん坊のころから見ているらしいそれは、あの悲痛な叫びを聞くだけで心が痛む。怖いと泣き叫び、起こして悪夢から解放するしか、できることがないのが歯がゆい。
 我が家の子供たちは妹の世話をよく焼くいい子ばかりで、自分たちで妹を悪夢から解放するのだと言うから、任せている。それでも私に助けを求めるならどうにかしてやりたいが、悪夢に関して私が助けになるかというと、私もこれ以上どうすればいいのか分からないのが辛いところだった。

 二つ目は、天恵について。
 天恵を持って生まれてくるのは、一定数いる。うちではシオンの耳の能力がそうだ。聞きたくもないことが聞こえてしまうため、色々と生きづらいことも出てくる。ただ天恵持ちだということが分かれば、対処のしようがあるのだ。最近ではシオンは積極的にアカリエル公爵ルークの元へ、その力を制御しようと通っている。
 ミリディアナは天恵は持っていないと思っていた。あの子は体が弱いこともあり、せめて天恵がないことにほっとしていた。なのに、この前の私の危機を察したかのような能力はいったい?
 天恵の能力次第では、体に負担がかかるものもある。それが心配だった。

 その二点について、シャイロに相談した。
 しかし帰ってきた答えは、想像外のものだった。

 まず悪夢について。
 悪夢を見ることは一般的にある。私だって見ることがある。ただこう頻繁に見るとなると、もうそれは神の領域らしい。

 そして危機を察することが天恵なのかについて。
 シャイロには天恵かどうかを判断することはできない。ただ、危機を察したり感じたりするというのは、神の領域らしい。

(どちらも神の領域とはどういうことなんだ?)

 結局、話が元に戻ってしまった。ミリディアナが神だから、こういうことが起きていると言いたいのだろうか。

(天恵でないことが分かっただけ、よしとするか)

 シャイロが聖職者で、天恵については専門外だということは知っている。
 蛇の道は蛇。
 専門といえばアカリエル公爵ルークだが、先日ミリディアナと会った時は、ミリディアナを見ても何も言っていなかった。

 天恵というものは、いつそれが天恵だと気づくかは本人による。死ぬまで天恵持ちだと気づかない人だっているくらいだ。シオンのように分かりやすい天恵ならいざ知らず、天恵を持っていないことを確認するというのは難しい。

 今回は、シャイロに会うことで、最低限の確認はできたのだと満足するべきだろう。
 ジルはそう思いながらも、ため息が出るのを止められなかった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。