七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 43話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 43話

このページでは小説を掲載しています。
七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」43話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 43話

 今年の社交シーズンはまだ終わっていなかったが、ダルディエ一家は早々に領へ戻ってきていた。
 初夏であり、もうすぐディアルドとジュードも夏休暇の長期休暇で戻ってくる予定だ。

 いつかは私もテイラー学園に入る事を目標に、エメルと一緒に今日も勉強していた私だったけれど、その休憩時間でざわざわしている玄関ホールへ行ってみると、パパとママが挨拶を交わしていた。玄関ドアの向こうには、騎士団の人たちもいる。

「パパー」

 駆け寄る私を抱っこしたパパは、おでこにキスをする。

「ミリディアナちゃんも、パパに行ってらっしゃいしましょうね」
「パパどこかに行くの?」
「仕事で西の方にね。一週間で帰るから、お土産を待っていなさい」
「うん。パパいってらっしゃい。気を付けてね」

 そうパパに告げたものの。なんだろう、胸がざわざわする。嫌な感じがする不快感。
 パパは私をおろし、手を振って馬へ乗る。

 不快感が消えず、よく分からないが、私の足が先に動いた。

「あ! ミリィ!」

 後ろでエメルの声が聞こえるが、それどころではない。なぜか涙が出て、パパの乗る馬の側まで走る。

「パパ! 今日はダメ! 行っちゃだめなの!」
「ミリディアナ?」
「行っちゃイヤ! 明日! ううん、明後日にしよう!」

 エメルが走っていて、私を後ろから抑える。

「ミリィ。危ないですよ」
「ダメなの! ねぇパパ! 今日はうちにいて!」

 パパや騎士のみなさんが困惑の表情であるが、私も必死だった。
 パパは馬から降りて、私を抱える。

「どうしてダメなんだ?」

 私は首を振る。そんなの分からない。とにかくここでパパを送り出すのがダメなことだけが分かる。必死にパパの首に巻き付き、行かせまいとするしかない。

「……今日がダメなんだな? 明日、いや明後日ならいいのか?」
「……うん」
「わかった」

 そう決めたパパの行動は早かった。明後日でもギリギリで用事に間に合うと、騎士たちを返し、準備していたものも全て敷地の横へ留めておく。

 まさか娘のよく分からない発言で用事を延期するのか、とみな目を白黒させていたが、パパは私を怒ることもなく、蔑ろにするわけでもなく、明後日まで本当にただいつも通りの生活をするだけだった。

 そしてある一報が入ったのは、明後日の朝。パパが再び出立するための支度をしている時だった。

 パパが行く予定だった先で、大雨の影響で川が氾濫し崖崩れが発生。多大な被害が出たのだという。パパがもし出立していれば、間違いなく巻き込まれていた場所だったらしく、家族全員が青くなる出来事だった。

 結局パパは西へ行くのを中止し、災害の復旧のために物資と人を送った。

 パパには感謝され、ママには泣きながら褒められた。そして騎士団では、なぜか畏怖の念のこもった目で見るものがいた。

 あれが何だったのか聞かれても、私にも分からないのだから答えようがない。あの不快感が災害を指していたのか、そうでないのか。
 正直どっちでもよかった。大好きなパパが助かっているのだから。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。