七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 41話 後半パパ視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 41話 後半パパ視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」41話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 41話 後半パパ視点

 冬休暇が終わり、ディアルドとジュードは帝都へ帰った。

 今年ももうすぐ社交シーズンになるらしい。パパは帝都での仕事があるため、そのシーズンより少し早めに帝都入りする。今回はパパが先に帝都入りしたが、それから遅れること五日、ママと兄たち全員と私も帝都入りしたのだ。

 今年は冬が深くまだまだ寒い。帝都は国のほぼ中心近くにあり、北にあるダルディエ領より暖かいはずだが、今年は春が来るのが遅れていて街を歩く人々の恰好はまだ寒々しいものだ。

 帝都ではママが兄たちと私を連れ、買い物へ行ったり食事に出たりした。私は相変わらずお気に入りの猫の着ぐるみを着ており、それを見た人が、大きいぬいぐるみかと思いきや子供だった! と注目を浴びてしまった。しかも私は猫のぬいぐるみを持って歩くので、歩くぬいぐるみがぬいぐるみを抱っこしている! と思われるらしい。

 私が動きやすさから着ぐるみを好んで着るため、ママは「今日はスカートにしませんか?」とすすめてくるが、「今日も着ぐるみにする」と譲らない。寒いうちしかモコモコ着ぐるみは着ることができないので、もう少しこれを楽しませてもらうつもりだ。

 そして今日は真っ白モコモコ猫の着ぐるみを着て、パパとママに連れられ、パパの友達の家へ向かっているところである。兄として代表でジュードとシオンが一緒に来ている。ジュードはテイラー学園の寮から週末なので戻ってきたのである。

 私はジュードの膝に乗り、窓の外を見ていた。
 帝都にあるダルディエ家の周りは、高級住宅地のようだった。広い庭の家、重厚感のある家、大きい家などが並んでいる。
 馬車に乗って十五分くらい経過したころ、ある門をくぐった。馬車がすすむ先には、豪華な邸宅があり、その邸宅の前に人が並んでいるのが見える。

 馬車がゆっくりと停まる。邸宅の前にいた使用人が、馬車の扉を開けた。
 先にパパが馬車を降り、ママをエスコートする。いつもなら、そんなパパママ素敵と思う場面であるが、私の視線は邸宅の前にいる人に向けられていた。
 子供が二人、立っているのである。

 パパとママが友人らしき人と話しているが、私は真っ青な顔で馬車から降りまいと、馬車の背もたれに手を伸ばした。

◆ 以下、パパ視点

「ジル! 久しぶりだな!」
「ダルディエ公爵、公爵夫人、ようこそいらっしゃいました」

 ジルの親友でありアカリエル公爵とその夫人が、笑みを浮かべて手を差し出す。ジルはその手を握り、もう片方の手を相手の肩へ置く。

「ルーク! 夫人も、元気そうでなによりだ」
「アカリエル公爵、公爵夫人。本日はご招待いただき、ありがとうございます」

 ジルとフローリアもにこやかに返す。
 ルークはジルが学園に通っていた時からの親友で、ルークは年下で学年は違うが、他の親友たちと共に今でも仲が良い。

 昔からこうやって互いの家を行き来したり、仕事でも円満な関係を築いている仲間でもある。

「今日は子供たちも楽しみにしていたんだ。まだ見ぬ令嬢と会えるって」

 アカリエル公爵家の子供は男の子が二人である。長男ノアはダルディエ家の兄たちには会ったことがあり、まだミリディアナにだけ対面したことがない。

「ああ、連れてきているよ」

 ジルは後ろにいるであろう、娘を振り返る。しかし娘どころか、息子たちもまだ馬車のところにいた。シオンだけ馬車の外に出ているが、中にいるジュードと話をしているようだ。

「どうしたのでしょう?」

 フローリアが首をかしげる。

「シオン」

 ジルが呼ぶと、シオンがこちらへやってきた。

「どうしたんだ?」
「それが……ミリィが下りないと言っていて」
「何?」

 ミリディアナはあまり人見知りをしない。だから予想外の言葉に首をかしげる。
 フローリアをその場に置いて、ジルはシオンと共に馬車へ戻る。

「ミリディアナ、どうしたんだ?」

 馬車の中を覗くと、ミリディアナは珍しく涙目だった。
 ジュードが困った顔でジルを見る。

「ミリィが子供を怖がるんです」
「子供? ノアとレオか?」

 そういえば、ミリディアナは子供と会う経験が少ないということを思い出す。周りの子供といえば、兄たちだけだった。大人ばかりに囲まれて育っているから、子供が得体のしれないものにでも見えるのだろうか。

「ノアもレオも怖くないから、降りてきなさい」

 ジルが手を指しだすが、ミリディアナは涙目で首を振るばかりだ。

「父上、ミリィはノアとレオの年を気にしているようです。いくつか知ってますか?」

 変なことを気にするものだ。まだ気にする年齢でもないだろうに。
しかし、そうは言っても、彼らがいくつだったか思い出そうとする。

「確か、ノアはミリディアナの一個上だったと思う。レオは……シオン聞いてきてくれるか?」

 シオンが頷き、ルークの元へ走っていく。そして戻ってくると、答えた。

「ノアが四才でレオが二歳だそうです」
「だってよ? どう? 仲良くなれそう?」

 ジュードがミリディアナの顔を見た。

「……ミリィと同じじゃない?」
「同じ年じゃないよ」

 ミリディアナはそれからじーと遠くにいるノアとレオを見ていたが、ジルに手を伸ばした。一緒に行くことにしたようだ。
 ジルに抱っこされ、フローリアの元へ行く。
 ミリディアナの視線はノアとレオから外れず、警戒しているようだ。

 ふとルークを見ると、いつもひょうひょうとしているくせに、今は口に手をやり、ミリディアナから目が離せないでいるようだ。なんだこの可愛い生き物はと言いたいのだろう。ルークは娘が欲しくてしかたがないのをジルは知っている。

「娘のミリディアナだ。挨拶は?」
「……ミリィちゃんです。はじめまして」

 家で練習していたように言うが、その視線はまだノアとレオにある。
 何がそんなに気になるのか分からないが、逆にノアとレオはミリディアナに興味津々で挨拶を返す。

 それから全員でお茶会会場へ場所を移すのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。