七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 37話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 37話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」37話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 37話

 夢での悪夢といえば、結婚式で殺される夢だった。その結婚式の悪夢をエンドレスで見ないための対策で、兄たちの添い寝作戦が功を成し、最近では結婚式の夢を見ても次の日まで辛い気持ちを引きずることはなくなっていたのに。

(慣れって怖いな)

 たとえ同じ夢だとしても、殺される夢など見続けるとノイローゼにでもなりそうなものだが、私は慣れてきてしまっていた。ちょっと結婚式で一度殺される程度では、うなされて冷や汗が出るくらいで終わっていた。

(それがいけなかったの?)

 毎回泣かなければならなかったのだろうか。
 恐怖におののかなくてはならないのだろうか。

 慣れさせてはなるものかとでも言うように、最近では結婚式の夢以外でも、悪夢を見るようになった。

 最初は宇宙船の中で殺される夢だった。その次は初孫が生まれて病院へ向かっている時に殺される夢だった。その次は就職が決まって引越しした先で殺された。そしてその次は……

 全てが殺される夢。そして毎回幸せの絶頂期の中で。
 嫌なのは、それがただの夢ではないことである。
 そう、見た後に思い出すのだ。それは前世、もしくは前々世、さらにその前に実際に起きた出来事なのだと。
 私がウィタノスに殺され、そして私を追うように毎回自殺するウィタノス。人を殺し、自分を死へ導きながらも、毎回満足気な表情を浮かべるのだ。

 悪夢を見る頻度は以前と変わらない。だいたい七日から十日に一度というところか。だけれど、悪夢の内容が変わり、気分が鬱々とする。

 新しい悪夢を見始めてから、昼間も元気のない私を家族は心配する。こちらを伺うような表情をされて気づくと、元気に振る舞うようにはしているが、いつのまにか悪夢のことを考えてしまい、ぼーとしているようだった。

 しかも、寝ぼけ眼の時に首を切られたと口走っていたらしい。シオンがしつこいくらい夢のことを聞いてくるが、「覚えてないよー何の話かなー」ととぼけるようにしている。あまり血なまぐさい話はしたくないし、『前世が』とか『殺されて』とか怪しいし不穏であるし、どこまで話していいものかが判断できない。

 だから今日も私は無邪気に笑うのだ。
 それが平安の道なのだから。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。