七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 34話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 34話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」34話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 34話

 ディアルドがテイラー学園へ去って二日後、今日は朝からパパは仕事、シオンは用事があって家におらず、ママと私は二人で馬車に乗っていた。二人でと言っても、実際は侍女が一人と馬車の外に馬に乗った護衛が二人いるのではあるが。

 馬車は帝都の郊外へ向かっていて、ある庭園の広がる屋敷へ入った。
 馬車が到着すると、ママは私を抱っこして外へ出る。

「ようこそ、フローリア! 久しぶりですね」

 屋敷の前に立っていたのは、超絶の美女。

「……ママ?」

 ママと間違えそうなくらい、外見がそっくりな女性だった。ママのほうが目が少し垂れ目でぽわっとした雰囲気があるが、違いといえばそれくらいである。
 そのママとそっくりな女性とママを見比べている私を見て、超絶の美女が頬を緩めた。

「なんて愛らしいの! あなたがミリディアナね」
「ええ、お姉さま。娘のミリディアナですわ」

 ママの姉だったのか。似ているはずである。ママと同じように輝く髪と瞳が美しく、朗らかに笑う姿が好印象だ。

「お姉さま、本当にお久しぶりですわ。去年は会う機会がありませんでしたもの。お元気でしたか?」
「もちろんよ。フローリアも元気そうでなによりだわ!」

 お茶の用意をしているらしく、ママ姉と私を抱っこしたママは移動する。庭園の東屋へ案内され、ママは私を抱えたまま椅子に座る。白を基調とした東屋の屋根はアーチ状に丸びを帯びて、濃いめのピンクのバラが美しく絡み綺麗だ。

 同じく椅子へ座ったママ姉は、私を見て懐かしそうに微笑む。

「ミリディアナはフローリアの小さい頃にそっくりね。ミリディアナ、こちらへいらっしゃい」

 両親や兄たち、それに使用人以外の見知らぬ人に近づかない私だったが、ここまでママそっくりな美女には警戒心も無くなるものだ。両手を広げられ、抱っこ姿勢万端で受け入れる。

「なんて軽いの! 女の子って、やっぱり小さいものなのね。うちの子は男の子だからか、もう少し重かったわ」

 ママ姉は私のほっぺをツンツンする。やっぱり大人は、この触らずにはいられないぷくぷくほっぺが気になるらしい。私も成長したから、ほっぺが前よりぷくぷく感は少なくなったのだけれど。

「ミリディアナちゃんは兄たちに比べても、小さいほうですわ。お腹が弱くて、あまり食べさせられないこともありますし、熱も出やすくて心配ですの」
「そう……、それは心配ね」

 ママたちが話している間、私はというと、ママ姉の瞳を覗くのに夢中である。ママやシオンのように、よく見ると緑の目がキラキラと輝いて宝石のようだ。

「ふふ、なあに? 私の顔がママと似ているかしら」

 あまりにも私が顔を見ているから、ママ姉は気になったらしい。

「ママのね、ね」

(お姉さまって言いづらいな!)

「そうよー、ママのお姉さまよー。わたくしティアルナと言うの。ティアママって呼んでね」
「てぃあママー?」
「そうよー、ティアママよー」

 ちらっとママを見ると、にこやかに笑っているので、『ティアママ』呼びで問題ないようだ。
 ママ以外にママと呼ぶと嫌がるかなと思ったのだが、ティアママに限っては大丈夫と判断する。

「本当に可愛いわね。……フローリアに似ているけれど、あの子にも……似ているわ」
「……わたくしもそう思いますわ。この子を見ていると、メナルティを思い出します」

 あれ、何だろう。ママもティアママもしんみりとしてしまった。
 その後、気を取りなすようにお菓子とお茶とおしゃべりを楽しんだママとティアママのお茶会は、日が沈もうとする頃お開きとなった。

「ティアママまたねー」

 ママと馬車に乗り、最近上手になった『手を振り』を披露し、ティアママと別れて帰路に付いた。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。