七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 17話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 17話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」17話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 17話

 昼夜逆転生活を実践しだして数日。朝から夕方までは昼寝と称した本気寝を、食事以外の時間を使って寝まくり、夜は狸寝入りで寝たと見せかけて、部屋から侍女が去って一人になると活動する。
 そんな生活にも慣れてきたような気がする。おかげで昼食時間も眠くて、食べながら寝てしまうことは多々あったが。

 つまらないのは、侍女がベビーベッドへ私を寝かせるため、ベッドから出られないということだ。おかげで運動といえば、柵をつたい歩きするくらいで、兄たちと遊ぶことがほとんどなくなった。ただ、最初の目的、『悪夢を見ないこと』については、効果を発揮している。やはり仮説どおり、夜に寝てしまうのが悪夢を見る原因だったようだ。

 昼間は眠すぎて母や兄が来ても起きないことが多くなり、触れ合いが少なくなって寂しいと感じることは多くなったが、寂しさを取るのか、悪夢から解放されることを取るのか、悩むところだ。

 悪夢を見ても、せめて悪夢から早いうちに解放されるならいいのだが、侍女が来てくれるのは悪夢を何度も繰り返し見た後、私がやっと泣いてからだった。最近の悪夢は、結婚式の序盤から殺されるまでが一巡すると、また結婚式の序盤に戻るという、エンドレス式になっていて、それが余計精神的に疲弊させる。

 ただ前に比べ、泣きさえすれば侍女が無理やり起こしてくれるようになったので、悪夢を見る時間は少なくはなった。

(悪夢を見たら、侍女がすぐに気づいて起こしてくれるといいのだけど……それは無理な相談よね)

 誰も他人の夢など覗けない。ということは、悪夢を見続けるということになるのだ。それはもう、気持ち的に無理だった。夜に寝なければ悪夢を回避できると知った後なら、なおさら。

(あ、きた、またいつもの)

 夜活動するようになって気づいた。部屋に私しかいないはずなのに、誰かに見られているような気がするのだ。ずっと見られているという感じではないが、時々ふと気づくとやはり視線を感じるのである。

(でも、視線を感じるところを見ても、当然ながら誰もいないのよね)

 それはだいたい決まって天井付近、ただ毎回同じ場所ではない。目を凝らしても誰もいないし、昼間の明るい時間に天井を確認したけれど、不審な点などなかった。

 そこから連想されるものは一つ。

(……やっぱり、霊的なやつかしら)

 赤ちゃんって、ずっと何もない壁とか、天井とか、じっと見ていることがある。あれって、何が見えているんだろう? もしかして? とは思っていたが、やっぱりそうなのか。

(ただ、私が赤ちゃんだとはいえ、そんな才能があるとは思えないけど)

 椿だった時もだが、そういう存在に気づいたことすらない。とはいえ、この邸宅はかなり古い屋敷であり、先祖の方とか浮遊していてもおかしくない気はするが。

(ま、別にだから怖いってわけじゃないからいいけれど。私にとっては悪夢の方が恐怖よ)

 椿の頃から霊的なものに恐怖を抱いたことがない。だって見えない。見えないものに恐怖を抱きようがない。その点、弟の蓮は小さいころからそういうものを信じてビビっていたな。そんな可愛かった弟を思い出すくらいで、それ以外に霊的なものに思い入れはない。

 時々感じるその視線は、特に私に危害を加えることもないので、ほっておくことにしている。

 そんなこんなを考えているうちに、いつの間にか寝ていたらしい。侍女の気配で起きると朝だった。

(しまった! 寝てしまった! 今日夜寝てしまったらどうしよう!)

 朝食をして、少しだけ活動したら、さっさと寝てしまって夜に備えなければ。密かに決意するのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。