七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 15話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 15話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」15話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 15話

「ミリィ、今度はこっちだよ!」

 すっかりハイハイマスターになっている私は、アルトの声に反応し、すごいスピードで兄の元へ向かっていく。妹の到着にアルトはぎゅっと抱きしめ、抱いたまま左右にゆらした。

「本当に上手になったなぁ! すっかり俺たちの歩く速度と同じ位でハイハイできるもんな!」
「もうすぐ父上と母上が戻ってくるし、今のミリィを見たらビックリするよ、きっと!」

 バルトの言うとおり、その日の内に両親が帝都から帰ってきた。何やら邸宅内の遠くが騒がしいな、と思っていたら、しばらくしてママが私の部屋にやってきたのだ。

「ミリディアナちゃん! ただいまママが帰りましたよ!」

 扉を開けたママが、駆け寄ってきた。

「まぁまぁすっかり大きくなって! ママですよ」

 相変わらずの超絶美人なママは、涙ぐみながら私を抱え上げた。ママの後ろから、兄たちが続々と部屋へ入ってきているのが視界の端に映る。兄たちは少し心配そうに見える表情をしていた。約二か月半ほど邸宅を離れていたママのことを、私が覚えているのか心配なのだろう。

「……あんまー」
(ああ! ママって言えなかった!)

 密かに練習していたのだが、ママを呼ぶのを失敗してしまった。

「まぁ! ママって言ったの!? なんということでしょう」

 ママと呼ぶのは失敗してしまったが、ちゃんと通じていたらしい。さめざめと泣くママはとても嬉しそうである。結果オーライだ。

 しばらくしてパパも顔を出してくれた。相変わらずの強面イケメンで、私からするとヨダレものだ。久々のドストライク顔面に、本当にヨダレが出てしまう。

(まあ、赤ちゃんだし許して)

 自身が赤ん坊だということにあぐらをかきつつ、ぞんぶんにパパを堪能する娘であった。

 それから半月ほどは何もなく平和な日々が続いたが、私に異変が起きた。ママに本を読んでもらっていたのだが、私が急に吐いたのである。これまでも離乳食がうまく飲みこめずに少し吐くことはあったが、今回はそれとは違うものだった。

「……うぇぇぇん」

 吐くのが止まらない。気持ち悪い。泣きながら吐くのを繰り返す私に、屋敷中大騒ぎになった。医師を呼び、症状が落ち着くまでに三日かかった。落ち着いたとは言っても、起きれるようになっただけで、まだ熱はある。だが赤ん坊にずっと寝るのを強制するのは至難の業だ。まだ頭は重いが、気持ち悪さがなくなったので、だったら抱っこしてもらいたい、というわがままを発揮し、現在ママに抱っこされてご満悦だ。

「お嬢様の顔色がだいぶ戻ってきて安心しました」
「ええ、本当に。まだ熱はあるけれど、良くはなってきているもの。……ベッドに力なく横になっているミリディアナちゃんを見ている時は、生きた心地がしませんでしたわ」

 結局、病名は分からなかった。私くらいの子供は、よく熱を出すもので、安静にするしかないということらしい。

 もう初夏の季節らしいが、国の北に位置する土地のせいか、時々寒い日もある。
 季節の変わり目といえば風邪になりやすいものだ。ただこの邸宅はどうなっているのか、どこにも暖房器具は見当たらないのだが、邸宅自体が暖かいおかげで寒くない。侍女たちは薄手のお仕着せで過ごしているが、動き回るからか暑そうなくらいだ。だからといって、風邪をひかないのかといえば、そうではないだろうが、今回の私は寒さからくる風邪ではなさそうだということだ。

(赤ちゃんだもの、ちょっとの変化で体調は崩しやすいのだわ)

 みんなに心配かけてしまった。誰も悪くないのに心苦しい。赤ん坊であるがゆえに自分でコントロールできるものではないが、できるかぎり今後は病気にならないよう気を付けよう、と決心する私であった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。