七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 4話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 4話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」4話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 4話

 私の手には、振るとカラカラと音が鳴るおもちゃが握られていた。どこか遠くを見ながらそのおもちゃを適当に振り回している。特に面白いわけではないが、まだこの体は思うように物をつかむのが難しいため、練習のつもりで赤ちゃんライフに励んでいる。

(赤ちゃんだから、体が柔らかいときにしかできないアレができるのよね)

 私は足の指を口に持っていき咥える。足の指を楽におしゃぶり代わりにできるのは、赤ちゃんだけではないだろうか。まだ歯も生えていない歯茎ではぐはぐしながら、自分の足の感覚を確かめていたときに、部屋のドアが開いてディアルドとエメルがやってきた。

「ミリィ」

 エメルがいつものように私の頬にキスを贈る。

「ミリィご機嫌だね」
「えぅー」
「ほら、お兄様聞いてましたか。ミリィはちゃんと返事するんですよ。言った通りでしょう」

 得意げな顔をするエメルに、ディアルドは微笑ましそうな顔を向ける。きっと、エメルから妹は言葉をしゃべるとかなんとか、そういう話を聞きながらやってきたのだろう。喃語ではあるが、相打ちっぽく声を出すようにしていたら、エメルはそれをきちんと返事だと理解していた。

「そうだな。返事がうまいな、ミリィ。いつもエメルと会話しているのかな?」
「あう」
「お、いい返事だ。そうかそうか」
「ミリィはおしゃべりが上手なんですよ。ね、ミリィ」
「あうあ」

 ちょうどそのとき、両親と他の兄たちも集まってくる。今日は休みの日らしく、家族勢ぞろいだ。
 私の部屋は家族がこれだけ大勢揃っても、家族以外に侍女がいても、部屋が手狭にならないほど広い。

 私を中心にそれぞれが座っていく。
 私は床に仰向けで寝転がっていたが、ちょうど頭の方向にパパが座ったため、パパ好きな私としては、パパ観察のために頭の上の方向を見ようと、頭を軸に背中を反りながら左手を上げつつバランスをとり上を向く。所謂、頭ブリッジのようなものですよ、できてないけれど。

「やっぱり、そろそろミリィは寝返りしそうですね」
「そうなのよ。今朝もあと少しで寝返りできそうだったの。ジル、名前を呼んでみてくださらない?」

 ジュードの言葉に相槌を打ちながら、ママはパパに声をかける。

(めちゃくちゃ期待されてない!? 寝返りするの、練習中だけど難しいのよー)

「ミリディアナ、おいで」

 今日は気持ち的に無理、と諦めかけそうになっていた心は、パパの一言でがぜんやる気が出る。いい声すぎるでしょ!

「あう」

 くくくっと片腕を前かがみになるように体重をかける。まだ筋力がないから、力業では難しいのだ。

(も、もうちょっと……)

 みなが注目し、固唾を飲んで見守っているのが空気に伝わっている。腕だけではなかなかうまくいかないため、ダメ押しで同じ側の足も上げて体重をかける。すると、ゆっくりとうつ伏せ姿勢におさまった。

(あれ、寝返りできた?)

 そのとき、複数の拍手と歓声が上がった。

「すごいぞ、ミリディアナ。できたではないか」

 すぐさまパパが抱え上げて抱っこしてくれる。

「本当にすごいよ、ミリィ! 上手にできたね!」
「うちの妹は、やり遂げる根性がすばらしいよ」

(ちょ、ちょっと褒め過ぎでは!? 嬉しいけど!)

 皆が次々と抱っこを変わっていき褒めながら抱きしめてくれるから、赤ちゃんって悪くないな、とニコニコが止まらなかった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。