七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 番外編1話 ディアルド視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 番外編1話 ディアルド視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」番外編1話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 番外編1話 ディアルド視点

※ミリィが4歳になる直前あたりの話です。
本編41~43話あたりのどこかに組み込もうかと思っていた、ゆるめのお話。

 週末、テイラー学園から帝都にあるダルディエ邸へ、ディアルドとジュードは一時的に戻ってきていた。社交シーズンでダルディエ領から帝都へ、両親や弟妹が来ていたからだ。そして現在ディアルドとジュードは、ミリィの遊びに付き合っていた。かくれんぼである。

 かくれんぼをするのは、ダルディエ邸の客間の一室。すでに本日二回かくれんぼをしていて、次が三回目だ。俺たちがかくれんぼをするのを、ミリィの侍女が二人、微笑ましそうに見ている。

「じゃあ、次はミリィが探すがわね! ディアルドとジュードが隠れて!」
「わかった」
「次はミリィがすぐに見つけられないところに隠れてね!」

 さきほどミリィが探す側をやった時、ディアルドとジュードを簡単に見つけてしまったのだ。ディアルドたちも、ミリィがもうすぐ四才になる直前とはいえ、まだ三歳で難しいところに隠れると泣かないか心配したこともあり、わざとすぐに見つかるだろうというところに隠れた、ということがある。ただ、それだけでなく、かくれんぼをする客間は、極端に隠れる場所が少ない。隠れる場所は客間の中だけと決めており、ベッドの下、カーテンの裏、ワードローブの中。あとはすぐに見つかることが分かった上で、見えることも分かっていてテーブルの下に隠れるとか。しかし、ミリィはすぐに見つけられることは、不満だったらしい。

「分かったよ」

 ミリィの頭を撫でると、ミリィはニコニコして廊下へ出た。

「さて、どうする?」

 ジュードと顔を見合わせる。客間は本当に隠れる場所が少ない。ディアルドたちは、部屋に備え付けられている空の引き出し収納へ近づいた。ディアルドが引き出しを開ける。

「ジュード、入れるか?」
「さすがに無理ですね……」
「だよね」

 シオンや双子なら入れるだろうが、ディアルドたちの体の大きさでは無理がある。次に向かったのは、天蓋付きベッドである。頑丈に作られていて、四隅にカーテンが結び付けられている。そのカーテンを一部分だけ結びをとり、カーテンを引く。いくらカーテンを引いてみても、わざとらしすぎて、この裏に隠れてますとバレバレだろう。ここも駄目か、と思っていると、ジュードが天蓋を見て言った。

「兄上、ここならどうですか?」
「ん?」

 ジュードが天蓋を指さす。このベッドの天蓋は、重厚感のある造りで、箱をひっくり返したような形をしており厚みがある。ベッドの上から天蓋のある上を見ても暗い。もちろん、ベッドに乗って上を見れば、すぐにバレるだろうが、ベッド上以外の場所からは見えないだろう。その天蓋に貼りつけば、見つかりにくいかもしれない。

「いいかもな。ジュード、一度やってみて」

 椅子をベッドの上に置き、ジュードが軽々と天蓋の四隅に手足を使って器用に貼りつく。ディアルドはベッドから離れ、天蓋を見た。

「うん、ベッドから離れると見えない。いけそうだ」

 ディアルドもベッド上の椅子を利用して、ジュードのように天蓋の四隅に貼りつく。頑丈な造りで助かった。天蓋はびくともしない。ジュードと頷く。

「これでいこう。悪いが、誰かベッド上の椅子を戻してくれないか。あとベッドのカーテンも結びなおしてくれ」

 部屋にいたミリィの侍女に声を掛けると、椅子を戻してカーテンを結んでくれる。そして侍女が微笑みながら、ベッドの天蓋を覗く。

「お嬢様をお呼びしてよろしいですか?」
「うん」

 廊下にいたミリィが呼ばれる。

「よぉーし、お兄さま見つけるよー!」

 張り切っているミリィの声が聞こえる。パタパタと部屋を歩き回る音がする。

「いなーい」

 音から察するに、ワードローブを開け閉めしているのだろう。窓のカーテンを見たりする音も聞こえる。そして、ついにミリィはベッドの側までやってきた。ディアルドたちからはミリィが見える。ミリィはベッドの下を覗き込んだ。

「いなーい」

 ミリィが顔を上げた。そろそろ見つかる、と思ったが、ミリィは天蓋までは見ずに、違う場所へ移動していく。その後も少ない隠れ場所を見て回る音がする。

「ねぇねぇ、ディアルドとジュード、この部屋にいる?」
「いらっしゃいますよ」
「……でも、いないよ?」
「お嬢様が探されていないところに、いらっしゃいますよ」
「ミリィが探していないところ? ……あ! 分かった!」

 パタパタとベッドにミリィは近づき、ベッドの上に乗った。そして六つほどある枕を横へ移動させる。

「あれ?」

 いや、そこにはいないと思う。今度はミリィはベッドのシーツをはぎだした。ジュードと顔を見合わせる。どうしよう、互いに笑いそうなのを我慢するので精一杯だ。シーツの下に俺たちがいないとわかると、今度は枕を押し出した。ミリィは俺たちがどれだけ小さいと思っているのだろうか。枕に入るわけないのに。

 ミリィはやっと枕は諦めたのか、ベッドからキョロキョロと部屋を見回している。あと上を見るだけでディアルド達を見つけられるのに、ミリィはベッドから降りて移動してしまった。

 それからも探す音は聞こえるが、一向に見つけてもらえる雰囲気がない。

「……本当にいるぅ?」

 まさか泣いていないよね? ジュードと顔を見合わせる。

「……ミリィの大好きなディアルドとジュード、どこー?」

 不安げな声で呼びかけるミリィが可愛くて、ジュードと震える。ディアルドがわざと咳をした。

「あ! いた!」

 ディアルドの咳の声に気づいたミリィは、ベッドの上に乗った。そしてキョロキョロしたり、また枕を触ったりする。今度はジュードがわざと咳払いをする。はっとしたミリィがベッドの上から天蓋を見た。

「いたー! ディアルドとジュード、みーつけた!」

 満面の笑みでミリィが喜ぶ。ディアルドたちは天蓋から下りた。

「見つかったかぁ。すごいな、ミリィは」

 ジュードがミリィを抱き上げると、ミリィがジュードに抱き着く。ただのかくれんぼ。されどかくれんぼ。かくれんぼだけで、妹との時間が楽しく過ごせて、妹が可愛すぎることが理解できる遊びはすごいと思うのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。