七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 186話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 186話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」186話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 186話

 皇太子宮への訪問は三日一度ほどの間隔で遊びに行き、楽しい時間を過ごせた。最初にオーロラがエメルの頬にキスした時は、エメルはびっくりしていて、「私、オーロラ嬢の兄に殺されませんか?」と眉を下げてはいたが、オーロラがキス待ちをしていると、仕方がないという困った顔で笑いながらオーロラの頬にキスを返していた。

 そんな感じで七回ほど皇太子宮を訪問したため、オーロラとエメルはすっかり仲良しである。今ではエメル、オーロラ、と呼び捨てにしているくらいだ。時々ソロソも部屋にいることがあったが、「俺がいない間に何があったんです!? ずるくないですか!?」とエメルに文句を言っていた。

 私はというと、エメルとオーロラが一緒に席を外した時に一度、カイルの口のキスに応えるのだった。相変わらず口にキスするのが恥ずかしい。また、私はカイルの仕事待ちをする時もあったのだが、カイルに手招きされ机に向かうと、カイルは私の耳にこそこそと「エメルとオーロラ嬢が不在になる用事とかないかな?」と言われ、仕事をしていたのではなかったんかいと呆れたこともあった。書類を確認したりする手は動いているのに、よく二つも三つも別のことを考えられるものである。

 先日のカイルの私に向ける女性としての愛を確認して以来、私なりにカイルに対し兄としてではなく、男性として意識する時間を少しずつだが作っている。しかしカイルに会うと、いつも通り兄として接してしまう。急に態度を変えたりなんていうのは難しい。まだ今はカイルを兄として愛している部分が大きいからだろうと思う。だからアカリエル邸で一人でいる時なんかに考えたりするのだが、なぜかカイルの熱い視線を思い出し、頭が沸騰してしまって考えることが上手くいっていない。

 そんな中、アカリエル邸のオーロラの風呂部屋で、オーロラと一緒にバスタブに入っていた時。泡を互いに吹きかけ遊んでいると、ふとオーロラが耳を貸してと言ってきた。なんだろう、とオーロラに近寄ると、オーロラが耳元でこそこそと話す。この部屋には私たちを洗ってくれる使用人しかいないのに。そんなにこそこそしなくても。

「あのね、内緒にしてね? オーロラ、エメルが好きになったみたいなの!」
「え!?」

 オーロラは指一本を唇にあて、しーと言う。

「ほ、本当に?」

 オーロラがニコニコと嬉しそうに笑っている。あれ、予想外だぞ。エメルは兄たちの代わり、というとエメルには申し訳ないけれども、ようは兄に会えない寂しさを減らしてくれる存在がエメルだったはずである。

「ノアとレオって、オーロラのそういう話、ヤキモチやいちゃうよね?」
「そうなの! だから内緒ね!」

 うーん、これは私もノアとレオに怒られるパターンだろうか。怖い。

「ミリィお姉さまのお兄さまたちも、こういう話は嫌がるでしょう?」
「ううん? 心配はされるけれど、ヤキモチみたいなのはないと思うなぁ」

 どちらにしても、私の恋は今まで成就したことはない。兄がどうこう言う前に始まりもしなかった。

「いいなあ。お兄さまのこと好きだけれど、あのヤキモチ焼きがねぇ……。もうすぐミリィお姉さまも帰ってしまうでしょう? そしたら、エメルと会えなくなっちゃう。でも連絡取り合う方法がないし」
「ああ、そういうことね。だったら、こういうのはどう? いつもオーロラがミリィに手紙をくれるでしょう? その中にエメルの手紙も別で入れるの。ミリィがエメルに渡すわ。そしてエメルから返事貰ったら、ミリィの名前でオーロラに手紙を渡せばいいでしょう?」
「お、お姉さま天才!? それいい! お願いしてもいいかしら!?」
「もちろん、いいわよ」

 もうこうなったら、ノアとレオに怒られる覚悟である。それに私が手紙を渡したとしても、それが実際の恋愛に発展するかは分からない。でも九歳差かあ。悪くないと思う。

 風呂から上がり、寝間着に着替える。この寝間着はジュードにお願いして作ってもらったやつである。アカリエル邸へ来るときにオーロラの分も作ってもらったので、お揃いだ。私が朝起きるとお腹を出していることが多く、お腹が冷えやすい。そのため上と下は繋がっていないが、リボンを結ぶと上下が離れない作りになっている。またリボンが水色で可愛い。夏なので袖はなしのノースリーブで、ズボンは膝丈までで膝の端はゴムでできている。

 寝る前に会話をしていたが、私もオーロラもいつの間にか眠ってしまっていた。

 夜中、何かの気配で目が覚めた。まだ寝ぼけた目を手で触り上を見る。

「……ノア?」
「ご、ごめん!?」

 こちらを向いていたノアが後ろを向いた。

「オーロラだけだと思ってて! すぐに失礼するから!」

 ノアはすぐに去っていった。何だったんだ。何でノアがいるんだ。オーロラはどこにいった、とふと横を見ると、オーロラはぐっすりと眠っている。うん、オーロラいるね。大丈夫、大丈……。
 すぐに寝入るのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。