七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 180話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 180話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」180話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 180話

 私がスヴェニア男爵に狙われているかもしれない、という兄会議のあった次の日から、テイラー学園へ通う通学に使っていた道を変更した。同じ通学路だと準備されて襲われる可能性もあるので、毎日通学路を変更するのである。

 そうこうしているうちに、卒業試験の日となった。
 全員が勉強したこと全てを試験にぶつけるのである。試験後、私とアナンとカナンは、思った以上に解けていたので合格だろう、という話をしていた。合格しないと卒業できないのだ。一定の点数以上を全ての教科で取る必要があるが、勉強していれば取れない点数ではない。そして、思っていた通り、私たち三人は卒業試験に合格した。ルーカスやモニカやエグゼも合格だったので、一安心である。ちなみに、合格点数に足りず、今年は二人卒業できない人がいるらしい。
 いつも試験では順位が貼り出されるのだが、なんとルーカスが一位だった。勉強も剣術も武道もなんでもできるとは。すごいやつである。私は頑張った甲斐があり四位だった。兄たちに褒められたので大満足である。

 卒業ができる生徒たちは、同学年のみの卒業パーティーがある。貴族の学校らしくドレスコードは夜会並みである。またできることなら同伴が望まれる。ダンスがあるからだが、男女の人数は均等ではないため、同伴しなくても問題はない。ただ私はエグゼに同伴をお願いすることにした。なぜかといえば、ルーカスとモニカをペアにするためである。モニカは同伴などいらないと言っていたし、エグゼはいつもの舞踏会のようにモニカを同伴にしたがっていた。けれど卒業パーティーのように気楽に楽しめる舞踏会というのは少ない。こういうところで気軽な友達と楽しくできるのは最後であるので、いつもお願いしていたら、モニカもエグゼも折れてくれた。

 ルーカスはかなりモニカに気持ちが傾いているようで、普段は人懐っこいルーカスだが、モニカには若干緊張して話している時がある。ルーカスは公爵家の令息なだけあって、緊張しそうな場面でも表向き冷静な表情で対応できる子だ。試験の順位が一位だったことで、卒業パーティーの最初の代表ダンスをモニカと踊ることになったが、本番は難なくこなし、本当に二人は素敵だった。ルーカスを見た令嬢たちの溜息がそこかしこで聞こえてくるくらいだ。私は私でエグゼとダンスを楽しんだ。エグゼもダンスのリードがうまくて、すごく楽しかった。ちなみに、エグゼが同伴だと兄たちに伝えた時は、一瞬無言になったが、その後、エグゼならいいか、と言われた。なぜエグゼならいいのだろう。よく分からないが、モニカとルーカスをくっつける使命があるので、ほっとした。

 ルーカスとモニカをくっつけるために、エグゼも含めて何度か街へ遊びに行ったりもした。私の護衛が多いので、少し大変ではあるが、ルーカスのためである。モニカはルーカスを見て余計なのがいる、と言っていたが、だんだんと慣れたようで、今では一緒に出掛けるのを楽しんでいる。

 そして社交界シーズンが終わる頃、私たちはテイラー学園を無事に卒業できた。今年の社交界へは私は最初以外ほとんど出なかった。あの求婚騒ぎから色々あったし、卒業試験勉強もあったので、特に退屈はしていない。

 モニカやエグゼは一度トウエイワイド帝国へ戻ることになった。モニカは帰りたくないと言っていたが、元はグラルスティール帝国に滞在するのは学園にいる間だけという約束だったらしい。だから一度戻って説得する必要があるという。ただトウエイワイド帝国はすごく遠いので、行って帰るだけでも二か月はかかる。私もすっかりモニカは親友だと思っているので帰ってほしくはないが、絶対に帰ってくると強い意思のモニカのことだ、きっと帰ってきてくれると信じている。

 夏休みの期間はダルディエ領へ帰るとしても、その後の私の過ごし方は決まっていない。普通の令嬢なら、せっせと結婚相手を見つけるために夜会などに参加するものだろうが、私の場合、ザクラシア王国のメレソォ公爵や先帝の息子だというスヴェニア男爵に狙われている可能性があるために、そういう場に出るのは見送ることにした。もう少し解決してから、ということなのである。

 今年の夏休み期間はカイルやエメル、そして双子は帰れないと言っていた。兄たちがいつも深刻な顔で話し合っているのを知っているし、戦争が近いのかもしれなかった。西や南があやしく、いろんなことが同時並行で動いているのが分かる。カイルはうちに来る時間もなさそうなくらい忙しいようだった。それに双子も騎士団関係で忙しく、最近では寮からダルディエ邸へ戻る時間もなく、彼女たちとも遊べていないと嘆いていた。

 夏休み前にダルディエ領へ帰る準備をしていたところ、私は今年は帰らないことが決定した。パパと兄たちが話し合い、ダルディエ領までの帰路で私に襲撃などの何かがある可能性を排除できない、ということだった。私が夏休みはいつも領へ帰るのは通例なので、襲撃などの準備をされやすいからだろう。ただパパやディアルドは仕事があるのでダルディエ領へ帰る。ジュードも用事があるようなので、領に一時的に帰省する。そしてどうやら、我が北部騎士団でも編成の変更を行うようだった。ディアルドがパパとそんな話をしていたのだが、どうやら南部騎士団が関係あるようだった。

 どこもそこもきな臭い。ほとんど話を聞いていない私でさえ、そんなことを肌で感じる。なんだか平穏からは遠い一年がやってきそうだと不安に思う。そして、今度はシオンが一度ザクラシア王国へ行ってくると言い出した。情報収集する中で、不穏な動きを察知したらしい。すごく不安だった。けれどシオンが行くといえば、絶対行く人だ。私は祈る事しかできない。無事に帰ってきてほしい。ナナの涙をシオンには多めに持たせた。

 しかし、帝都のダルディエ邸にいる兄がエメルのみとなってしまう。少し待っていればジュードが帰ってくるだろうが、エメルは昼間は家にいないし、我が家の影も出払っていてなんだか不安だと思っていると、しばらくの間、私は帝都にあるアカリエル公爵家に預けられることになった。うちにいる護衛だけで私を守るのは、今の私が狙われている状況からすると心許ないからだという。あそこは警備がしっかりしている上に、ノアやレオが現在西のアカリエル領へ戻っておりオーロラが寂しがっているらしく、ぜひ来てくれということだった。私もオーロラなら仲が良いので、すごく楽しみになった。

 そして、アカリエル公爵家へ行く日が目の前までやってきていた。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。