七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 169話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 169話

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」169話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 169話

「あら、話は終わったの? ミリィ……どうして急にシオンに抱き着いているのよ!?」

 モニカとエグゼがあてがわれた部屋に入ったとたん、私はシオンに抱き着いた。とりあえずヴィラルからの求婚が解決したかと思ったら、まさかの爆弾を投入された気分だった。

「だってー! ちょっとシオンを補充したいの!」

 家まで我慢できそうになかった。抱き着いた私をシオンは抱き上げる。そしてモニカたちの側の椅子に座った。

「何よ、何があったのよ! 何でそんなにぐずぐずなの!? あの王がミリィを諦めないって言ったのね!?」
「ううん、諦めてくれた。だけど、ミリィを狙っている他の人がいるんですって」
「誰よ、それは! わたくしがどうにかしてあげるから、こっちに来なさい!」

 また私は命が狙われるのだろうか。いや、違うな、子供を産ませたいと言っていた。ということは、また求婚してくる人がいると考えればいいのか。

「あれ、もしかして、求婚してくる人を片っ端から断れば済む話かしら?」
「……それだけならいいのだが」
「シオンは他に気になることがあるの?」
「……いや、とりあえずは、求婚してくる奴は断るという方向でいいだろう」
「そうよね?」

 うん、だったらうちには頼もしい兄たちがいる。全て断ってくれるだろう。あれ、意外と簡単に解決しそうだ。少し気分が浮上した。

「あ、ミリィ、機嫌良くなった!? だったら、わたくしの横にいらっしゃいな! ほら空いてるわ!」
「あ、うん」

 シオンの膝から降りると、モニカの横に移動する。

「少し部屋を出る。すぐに戻るから、もし呼ばれても勝手に行くなよ、ミリィ」
「うん? 分かった」

 私と共にこの部屋には護衛が入室しているし、シオンが少しくらい抜けても大丈夫だろう。

 シオンは部屋から退出したが、シャイロに呼ばれる頃、またシオンは帰ってきた。
 モニカとエグゼ、私とシオンは部屋を移動し、シャイロのいる部屋へ入室した。ここにも護衛は入ってこれないが、シャイロも一人なので問題ないだろう。

 モニカを見たシャイロは、少し目を見開いた。そして片膝をつき、片腕を胸の前へ移動させると、お辞儀をした。

「ミリディアナ嬢だけでなく、また神にお会いできるとは光栄です」
「ふーん、本当にわたくしが何者なのか確認できるのね」
「実は、先日の舞踏会でも少しあなたさまをお見掛けしたのです。あの場でお声かけするわけにはいきませんでしたから」
「まあいいわ。普通に座って良くてよ。許すわ」

 モニカったら王族っぽい。あ、王族だった。

「それで? 女神ザクラシアってザクラフィーのことかしら」
「……それは神の地で呼ばれる呼び名だと存じます」
「やっぱりそうなのね! あのわがまま女、わたくしのカルフィノスにいつもいつもいつも! こっちにこい、あっちにこいってわがまま言って! カルフィノスが優しいからって調子乗りすぎよ! ここにつれて来なさい、説教してやるわ!」

 可哀そうに。シャイロが困惑している。

「申し訳ありませんが、ザクラシアではないこの地にお呼びすることは不可能です」
「何よ、ザクラシアへ行けば呼べるのね! いいわ、行ってあげても……」
「いいえ、ザクラシアでも今は難しく」
「……どういうこと? あなたのところの神ではないの」
「それが……地上へ降りていらっしゃらなくなって何百年も経過しており」
「……呆れた。また飽きたのかしら。飽きっぽいのよあの子」

 飽きっぽいというだけで、神の役割を放棄しないでほしいものである。

「じゃあ神の力はなし?」
「いいえ、神ゼイナフが代理でして」
「……ああ、ゼイナフってザクラフィーの双子の兄のゼイナフィーね。あいつ、そんなことさせられてるの。妹よりはマシなやつだけれどね、あんな妹のどこが可愛いのか、ちょっと妹に甘くてね」

 あれ、どこかで聞いたような話だな。うちとか、モニカのとことか。

「ま、ザクラフィーよりいいわよ、ゼイナフィーのほうが。よかったわね」
「……そうなんですか、やっぱり」

 すごく小さな声でやっぱりって言った。シャイロは実は苦労性なのかもしれない。
 しかし、シャイロはやはり聖職者なだけある。私のこともモニカのことも言い当てた。

「シャイロさま、シャイロさまには神が分かるのですよね、わたくしたち以外にこのあたりにそういった方はいますか?」
「申し訳ありません。私に見えるのは、ごく近くにおられる方だけです。近場ではお二人しかいらっしゃらないのは分かりますが、距離があると分かりかねます」
「そういうものなのね」

 それからシャイロともう少し話をして、モニカ達と帰宅する。
 モニカとは私の部屋でお茶をした。

「でも、よかったわね! これでザクラシア王は断ったし、ウェルドの王子は正式に申し込まれたわけじゃないのだし、ほっとけばいいわ」
「そうね、ウェルドの王子はもう帰国の途についたと聞いたわ」

 結局、ウェルドの王子はあの求婚騒ぎから音沙汰無しである。とんだお騒がせ野郎だった。

「皇太子の件は、様子を見て婚約解除の噂を流せばいいわよ。うん、めでたしめでたしね!」

 モニカはすこぶる上機嫌である。

「それがね? カイルお兄さまが変なことを言っていてね?」

 私は、カイルが私を女性として好きなのだと言っていることを告げた。

「はぁ!? あいつ、言ってしまったのね!? わたくしに断りもなく!」
「……その感じだと、モニカはカイルお兄さまがミリィを妹としてではなく、女性として好きだと知っていったみたいなのだけれど」
「知っていたわよ、分かりやすいもの」
「……」

 えー……カイルと付き合いの浅いモニカが知っていて、何で私が知らないのだ?

「わ、分かりやすいって、どのあたりが?」
「前にダルディエ領で一緒だった時、わたくしとミリィを取り合いしたじゃないの」
「それは妹のミリィが取られると思ったからで」
「最初はともかく、最近のミリィの兄たちは、わたくしからミリィを取り上げようとはしないわよ」

 そう言われると、そうである。いやいや。いやいやいや。

「前回モニカとカイルお兄さまが一緒にいたのって、三日くらいでしょ!? 他のお兄さまのように、最初だもの、警戒しただけよ。今ならモニカと取り合いなんてしないわ!」
「そうかしら……」

 そのはずだ。カイルは妹の愛と女性への愛を混同しているだけである。そうに決まっている。

「そうだとしても、あの皇太子、ミリィと結婚したいと言っているのでしょう? 早いうちに、どうにかしなきゃね……」
「お願いだから、変なことしないでね」

 モニカは思い込むと怖い。話を変えよう。

「そうだ、今度ルーカスとお茶しようと思うの。モニカも来てね!」
「は? 何であのバカと」
「バカって……ルーカスああ見えて頭はいいのよ」
「ミリィを置いて行ったせいで、余計な求婚受けたのよ! バカじゃないなら、何なのよ」

 まだそこが尾を引いていたか! うーん、ルーカスとモニカを引き合わせるのはなかなか難しいものである。一人ナナと遊ぶエグゼを見て幸せそうだなぁと遠くを見るのだった。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。