七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 165話

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 165話

このページでは小説を掲載しています。
七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」165話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 165話

 社交界シーズンとなった。
 私はテイラー学園に通いつつ、夜は夜会に出ることもある。今日も夜会に参加しているのだが、ダンスをしませんかと誘ってくる男性たちに囲まれていた。複数人で楽しく会話をするだけではだめなのだろうか。ダンスでは相手の男性と踊りながら二人で会話はできるが、二人になってまで話す話題もない。

 夜会には皇族でもない限り護衛や侍女を連れて行くこともないため、適当にあしらってくれる人がいないのだ。夜会は舞踏会ではないし、踊ることは必須ではない。それに以前しつこくダンスに誘われ、相手の足を踏むことで対処をしたものの、あの技を毎度使うわけにもいかない。それに最近では私はダンスに誘われても応じないことで有名になりつつあり、諦めて他に行ってほしいのだが。

 化粧室に行きますと言って離れようかと思っていると、男性の後ろから声がした。

「ミリディアナ嬢、一曲いかがですか?」

 知っている声だと思っていると、そこにいたのはラウ公爵令息であるルーカスだった。

「喜んで」

 まさか私が応じるとは思っていなかったのか、周りの男性陣の驚く表情を横目に、ルーカスの手を取る。曲に合わせて踊り出す。

「ありがとう、助かったわ」
「ミリィはいつも囲まれているな」
「ルーカスもでしょう。ミリィの場合、ダルディエ公爵家とのつながりが欲しいのよ、彼らは」
「それは俺も同じだけれどね。ラウ公爵家の名前に群がる群がる」

 互いに笑いながら、ダンスを続ける。

「今度ある宮廷舞踏会には行くのか? 他国の要人が集まるって聞いているけれど」
「行く予定よ。いろんな国から来ているみたいね。ママがこの前ザクラシア王国の人が来ているから会いに行っていたわ」

 毎年この季節には他国から王侯貴族がやってくるが、今年はすごく多いという。噂ではカイルの婚約者候補として他国の姫が多くやってきているらしい。皇帝と皇妃も国同士の結婚であるし、カイルも他国の姫を娶る可能性はある。またカイルの婚約者候補とは関係ないが、ザクラシア王国から国王が訪問してきている。そう、以前私がザクラシア王国へ誘拐された時に会ったヴィラルである。毒を食らっていたが、何とか生きながらえ、今では子供もいると聞いた。それを聞けば、あの時ヴィラルを助けることができて、本当によかったと思う。

「じゃあ一緒に行かないか? お互い家の名に群がる相手を連れて行きたくはないだろ?」
「ええ? ルーカス、まだ今度の相手決めていないの? ミリィはシオンと行く予定なのだけれど」
「あああ、やっぱりそうか。シオンさんからお前取ると怒られるよなぁ」

 夜会とは違い、舞踏会となると同伴が必ず必要なのである。本当の恋人である必要はないので、私は大抵兄たちの誰かと参加するが。

「一番下のお姉さま、まだ婚約者いらっしゃらなかったわよね? お姉さまに頼んだら?」
「なんで姉上に頼まなきゃいけないんだよ……勘弁して。それなら家の名前に群がる相手の方がマシ」
「ミリィは兄に頼んでますけれど」
「お前はいいんだよ、女性だから」

 同じ相手でも兄と姉では違うらしい。

「うーん……シオンを断ろうか?」
「え? そんなこと可能なの? シオンさん入ってこれないじゃん」
「何言っているの。シオンならどうにかして入ってくるわよ」
「ああ……そうかもね」

 ルーカスはまだまだシオンのことを分かっていない。こうと決めた時のシオンの行動力はあっけにとられるレベルである。

「まあ、怒られるかもしれないけれど。ルーカスが」
「俺かよ」
「ミリィがシオンに怒られると思う?」
「……」

 まあでもルーカスなら大丈夫だろう。私もルーカスも互いに恋愛感情がないのは分かり切っているし、ルーカスはシオンも含めたうちの兄たちと仲がいいため、ちょっと小言を言われるくらいだ。

「当日はちゃんと迎えに来てね。あした学園で衣装の相談をしましょう」
「おう、助かる」

 同伴の相手とは合わない衣装を着るのは良くないとされるので、話し合いが必要なのだ。

 その日はルーカスのダンスが終わると、疲れたので帰宅した。

 宮廷舞踏会にはルーカスと出るとシオンに伝えると、少しむっとされた。そらそうだ、同伴してと頼んだのは私なのである。ただ舞踏会ではシオンとも踊りたいし、一緒に来てほしいと頼むと、宮廷舞踏会には参加するからと返事をくれた。シオンのことだ、どうにかして舞踏会では近くにいてくれるだろう。

 宮廷舞踏会当日、ルーカスが迎えに来た。
 今日は話し合った結果、ルーカスは濃い緑をタイに取り入れた黒色を基調とした礼装で、肩からマントのように掛けた上着がかっこよく決まっている。私はというと、全体的にシルバーの生地のキラっと光るドレスで、リボンに濃い緑をあしらってルーカスの服と同調させた。

「うん、すごく綺麗だ、ミリィ」
「ありがとう、ルーカス。ルーカスもとても素敵よ。かっこいいわ」

 互いに笑顔を向ける。
 私たちのやりとりを聞いている女性の使用人が、ほうっとため息をつくが、これはただの挨拶みたいなものだ。間違ってはいけない。

 ルーカスと一緒に馬車に乗り、宮廷舞踏会が行われる会場へ向かう。会場へは次々と招待状をもらった貴族たちが馬車で集まってきていた。馬車の数からも、今回の宮廷舞踏会の参加者が多いのが伺える。

 そして私は馬車を降り、ルーカスのエスコートで宮殿へ足を踏み入れた。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。