七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 150話 エメル視点

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 150話 エメル視点

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七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~」150話
 

七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない~転生令嬢日記~ 150話 エメル視点

 兄上たちに、カイルさまがミリィに恋しているようだが、知っていたかと聞かれた。それはもう、知っていたと答えるしかない。兄上たちからは、カイルさまとミリィを決して二人っきりにするなと言われた。

 カイルさまがミリィのことを好きなのではないかと気づいたのは、いつだっただろうか。たぶんまだカイルさま本人は、妹としてミリィを愛しているのだと信じていた頃。時々ミリィが好きになる男性に対し嫉妬心のようなものを見せることがあり、あれ? と思ったのだ。しかし、カイルさまはミリィを心配していることも確かで、兄としての気持ちなのか恋によるものなのか私は迷ったものだ。

 私だってミリィのことは愛している。すごく可愛いし、ミリィが泣いていたらその原因になったものを一生後悔させてやるくらいには愛していると思う。

 ミリィはどうやら惚れっぽく、いつも恋する相手を探している。それを見て、俺は心配だしミリィが傷つかないよう対処しようと思う。けれどカイルさまはそれに加え、ミリィの興味がどうにかカイルさまに向いて欲しいと願っている。それを兄としての感情だと勘違いしていたようだけれど。

 ミリィに会えなくても、一日何度もミリィの名前を口にする。多忙でもミリィと会う時間を作る。ミリィに愛していると伝える。ミリィを抱きしめ、抱き上げ、腕の中にずっと閉じ込める。体調を気遣い、いつも元気で憂いなく笑顔で過ごしてほしいと願う。とにかくミリィが世界で一番可愛くて。あれ?

 どれもカイルさま関係なく、自分を含む兄上たち全員が思っていることなのに気づいた。ではやはりカイルさまのは兄としての愛なのか。

 いや、しかし。
 成長したミリィは綺麗になった。普段は甘えたがりで可愛いのに、舞踏会や夜会などで見る外面のミリィはとにかく綺麗である。うちの妹可愛いと思う。綺麗だと思う。その美しさに息をのむ時がある。けれど。

 顔を赤くしたりはしない。見惚れて熱に侵されることはない。魅惑的な服を着ても、見たらいけないものを見たような気持ちにはならない。お兄さまだから見せるのよ、というミリィに、兄たちしかいないのだから大目に見るか、そしてそんな姿も可愛いと思うだけである。

 さすがに、カイルさまも自分の気持ちを自覚したのではないかと思う。大量にやってくる婚姻話になぜ積極的にならないのか。ミリィ以外の女性に一切目がいかないのはなぜなのか。カイルさまも今年二十一才、そろそろ婚約者を決めなくてはならないのだ。

 ミリィを抱きしめるカイルさまは、自分がどんな顔をしているか分かっているのだろうか。見てるこっちが恥ずかしいくらい、全身からミリィが好きだと言っているように見える。そんな姿は普段はソロソや私くらいしか見る者がいないが、今日、兄たちは気づいてしまった。その意味に。

 兄上たちの気持ちは分かる。可愛いミリィを誰にも渡したくないのだ。それは私も同じ気持ちではあるが、私はカイルさまの側近である。近くでずっと見てきた。だから私自身はカイルさまはミリィの夫としては悪くないと思う。カイルさまが夫ならミリィを大事にしてくれるだろうし、ミリィは幸せになれると思うのだ。

 ただミリィの気持ちは? 今はカイルさまをただの兄としか思っていないだろう。身分関係なく好きな人ができやすいミリィは、意外と線引きをしていると思う。父上が好きなミリィは、いつも父上と結婚したいと言っているが、それはあくまでも冗談なのだ。父上を含め、兄上たち、家の使用人、北部騎士団の騎士なんかは、無意識に恋愛対象外だと線引きしているのだ。それ以外なら、自由奔放に好きな人を作る。ミリィはカイルさまの気持ちを知らない。兄として接しているため、知ろうとも思っていない。だからカイルさまはミリィが本当に欲しいのなら、兄としての関係を捨ててでもミリィに気持ちを伝えるところからしないと、ミリィの気持ちはカイルさまに走り出しもしないのだ。

 カイルさまの気持ちは分かる。もしミリィに兄として以外の感情を拒否されたら? 兄として接することもできなくなったら? 兄としてのカイルさまもいらないと言われたら? 恐怖だろうと思う。自分に見向きもしないミリィを想像するのは。

 それでも他の男に取られるのが嫌ならば、早めに対応しなければならない。ミリィを狙っている男はたくさんいるのだ。それを我々兄たちで守ったとしても、もしミリィが本気で恋をしたなら、私たちでどうにかできない可能性だってあるのだから。

 カイルさまがどう動くのか、これからも傍で見ていく。それがカイルさまにとって今後を左右する大きな決断だとしても。最終的にミリィを手に入れることができなくても。それでも傍で見ていく。それが側近としての私なのだから。

まとめ

お読みいただき、ありがとうございます。
次回に続きます。